[マーケティング] カテゴリー
2008年07月05日

佐藤義典氏のマーケティング理論「戦略BASiCS」

私の仕事上の最大の関心事はマーケティング分野である。

故に恐らくこのブログの中でも大きな1つのテーマとして常に話題として行きたいところである。

今日でブログを書き始めて7日目であるが、テーマ的には真打ち登場ということで土曜日の今日はマーケティングの話題をテーマにしたい。


さて最近このマーケティング分野で、私が興味深く思っている1つは佐藤義典氏の「戦略BASiCS理論」である。


同氏は既に5冊のマーケティング書籍を執筆されているが、先日は私が個人的に毎月視聴購読しているマーケティング教材のインタビューCD−ROMの講師が佐藤氏であり、ここでもこの「戦略BASiCS(ベーシックス)理論」が判り易く語られていた。


佐藤氏の「戦略BASiCS理論」とは、簡単にいうと


Battlefield (戦場:何処を戦場として戦うか?)
Asset (独自資源:自社の独自資源は何か?)
Strength (強み・差別化:自社の強みや差別化の視点は何か?)
Customer (顧客:顧客は誰で、顧客にとって必要なものは何か?)
Selling Message (売り文句:顧客に響く良いメッセージとは何か?)


という5つのフレームワークの頭文字をとったものだそうだ。


実はこの「戦略BASiCS」のフレームワークは、Webサイトマーケティングの世界でも非常に重要な要素であり、考えてみれば弊社がこれまで考え制作してきた、私のWeb制作の基本的な戦略思考とも実にぴったりとマッチするものである。

バトルフィールド(Battlefield)は、例えばSEO(検索エンジン対策)戦略で考えれば、どんなキーワード分野で戦うか?とか、インターネット情報上の競合の中で、どんなWEBポジショニングを考えるのか?だと言えよう。

アセット(Asset)は、自社ならではの独自コンテンツは何か?と考えれば判り易いだろう。

そして自社の独自資源であるそのWebコンテンツが、さらにキラーコンテツ(顧客にとって便利な機能や有益情報)として差別化されれば、それが最大の強み・差別化(ストレングス Strength)のポイントとなる。

またWEBサイトでは、ユーザビリティ(使い勝手の良さ)など徹底的な顧客(カスタマー Customer)視点が重要で、細かく分類されたターゲットユーザー毎にサイト設計をして行く必要性がある。

そして、どんなセールスメッセージ(Selling Message)でWebサイトの表現を考えて、顧客ユーザー届けるか?を考え、ホームページを制作することが、儲かるウェブサイトに繋がるのだと言えるだろう。


【参考サイト】
佐藤義典氏 ストラテジー&タクティクス株式会社

2008年07月05日 17:06 | コメント (0)
2008年07月06日

趣味のオーディオをマーケティング的に考えてみた

今日は休日なので少しだけプライベートな領域の趣味の話をしてみたい。

私の趣味の中でもここ数年来、一番関心のあるものといえばオーディオなのだ。
がしかし、このオタクな領域のマニアックな話をいきなり具体的に話をしたところで、こうした事にあまり関心のない方には退屈な話でしかないだろうから、このブログでこの趣味領域のことについて語る場合にも、ほどほどに、必ずマーケティングの視点か、WEB分野の視点で何かを紹介することにしておこう。

さて、オーディオというものが趣味といっても、一般の方の中には、音楽を聴くステレオ装置がなぜ趣味の領域に入るのかと理解出来ない方もあるかもしれない。

またこうした機械ものの世界は、やはりどういうわけか、圧倒的に男性分野の趣味ジャンルのようであり、従ってオーディオ趣味の人で妻帯者の方は、大抵、奥方には金のかかる道楽としか思ってもらえないのが、一般的なようである。


まあそれはともかく、改めてこのブログの記事として、マーケティングの視点で趣味のオーディオを考えようとしてみると次の疑問が湧き上がった。


いったい自分と同じようなオーディオを趣味とする人の、趣味人口はどの程度いるのだろうか?


そこで趣味人口を憶測する方法を考えてみると、まず思いつくのは、専門雑誌の種類とその発行部数がどの程度かということだ。

オーディオの専門雑誌の種類については、さすがに自分の興味分野だけに詳しいところだが、自身が欠かさず定期購読している雑誌だけでも、月刊誌1誌と季刊雑誌が4誌の計5誌もある。
一般に雑誌の種類を調べる方法としては、大型書店や図書館に出向くのもいいが、雑誌ネット雑誌のオンラインショップ fujisan.co.jpで探すのが良いかと思う。

しかし、では雑誌の発行部数は?となると、これは雑誌出版社に直接尋ねればいいのかも知れないが、ひとまずネット上でリサーチする方法がないかと考えると、社団法人日本雑誌協会という団体があり、ここで代表的な各誌の発行部数が公表されている。
ちなみにオーディオ雑誌としてはかなり技術寄りの「MJ無線と実験」という月間雑誌が6万部とのこである。


その他の方法を考えると、年に何度か東京や大阪で開催されるオーディオ・ショウ展示会の来場者数は何名ぐらいか?ということに視点が移り、これもネットリサーチしたが、大阪の日本橋オーディオ店会が昨年主催の展示会来場者数は2日で2,176名とのことだ。


では、市場規模はどの程度なのか?
恐らく厳密には販売流通の何らかの定量的な数値を入手できればいいのだろうが、これについてもネットリサーチで情報を入手できないかと探したところ、あるマーケティング会社が調査したレポートの概要のみが下記に公開されていた。

2007年度MDB市場情報レポート「高級オーディオ」抜粋版
市場規模は2006年度で332億円、ここ数年年率4.5%づつぐらいの増である。


また工業製品の工場出荷生産数と金額は、経済産業省の工業統計調査からも判断できるだろう。もちろんこちらも公的調査資料だからネットで閲覧ダウンロードが可能だ。

こう考えると、ネットでもある程度のことは調査可能だといえる。

この他には実際に小売店舗の売り場面積の動向や、メーカーの新製品情報などで市場の動向はある程度推測できる。趣味の分野だと敏感になりやすいので、実際、近年高級ホームオーディオの市場は活況であることを、私自身実感しているが、いろいろ調べるとそれを裏付けるデータが探せるものだ。

というわけで、今日は趣味のオーディオの話をするつもりが、すっかりマーケティングの話になってしまった(笑)

2008年07月06日 23:58 | コメント (0)
2008年07月14日

RSSリーダーで市場調査

RSSをご存知だろうか?


意外と一般にはあまりまだ浸透していないようで、先日も私の友人にこの仕組みを教えてあげると、「凄い!凄い!瞬時にして欲しい情報が常時チェックできるのは、かなり画期的です。」と大喜びだったので、今日はRSSの使い方を紹介してみたい。


RSSをWikipediaで調べると、「RSSは、ニュースやブログなど各種のウェブサイトの更新情報を簡単にまとめ、配信するための幾つかの文書フォーマットの総称である。」と記されている。


RSSに対応しているウェブサイトやブログなどではRSS新着情報などのマークや、rssアイコンや、xmlアイコンなどの表示が使われていることが多い。


判り易く言うと、情報を発信する側は、日々更新されるブログやホームページの記事更新の最新情報をこのRSSという形式で常に配信することで、更新の状況をタイムリーに情報の受け手に知らせることができる仕組みである。


情報の受けて側は一般にこのRSSの情報を、RSSリーダーといわれるソフトで入手する。


そのRSSリーダーといわれるソフトの代表的なものには、gooRSSリーダーや、Microsoftのwebブラウザで最新のインターネットエクスプローラー7.0には、このRSSリーダー機能が標準となっている。


このRSSをうまく使いこなすと、マーケットリサーチにも便利な情報収集ツールとして使うことができる。

gooRSSリーダー
gooRSSリーダー


例えば、gooRSSリーダーには、キーワードの登録が可能でキーワードを追加しておけば、毎日そのキーワードが利用され更新された記事の検索が日付順に可能である。


具体的には、例えば「カーディオキック」という弊社のサチウェイインターナショナル事業部が展開するエクササイズプログラムの名称をキーワード追加しておけば、毎日数多いwebサイトやブログサイトでRSS配信をするサイトから、自動的に「カーディキック」という言葉が記載された記事を巡回ピックアップしてくる。


つまりは、今現在の「カーディオキック」に言及された記事の内容をタイムリーにチェック出来るという訳である。


また、RSSリーダーに、自分のお気に入りサイトを登録しておけば、いちいちサイトにアクセスして更新の有無を確認せずともチェックが可能なのである。

2008年07月14日 23:56 | コメント (0)
2008年07月18日

シンクロニシティだろうか?

今日は、午前中は今年で創業101年になる木工用ニスの製造や、印刷用のコーティング塗料やラミネートフィルムの販売をされているお会社にご提案に伺い、受注させていただくこととなった。

サイトコンセプトは「101年の歴史と伝統に培われた『知財』の強みを表現する」といった内容だ。
ご用命いただいたことに感謝して、よいサイト作りを目指したい。


そして夕方からは、先週に引き続き、(社)心学明誠舎のサマーセミナーに参加した。

今日の講師は同舎の副理事長で、学校法人エール学園の理事長である長谷川恵一先生で、テーマは前回に引き続き「メンターの思想と石田梅岩の教え」というテーマであった。


前回のセミナー同様に、石門心学とメンタリングの思想の共通点を挙げていただき実践哲学として、現代における課題と先生が実際に、お取り組みの事例と掛け合わせ解説頂いた。


今日は内容を詳しくは述べないが、前回のセミナーでも説明された「人間力の五つの力」が、ある理論と、実に似ていることを発見した。


人間力の5つの力


今日のお話の中で、長谷川先生は、この五つの力は中国思想の陰陽五行説の流れからきているというようなこともおっしゃった。


先週、私はこの図と先週の大野先生のお話からマクロビオティックの思想との共通点を感じたのだが、なるほど、マクロビオティックも陰陽五行の考え方がベースにあるようなので、やはりそうか!共通している!と改めて感じた。


そして、驚くことに、先般から佐藤義典氏のBASiCSのマーケティング理論に関心を持ち、今、同氏の「図解実践マーケティング戦略」という著作を学んでいるのだが、そこに記されたBASiCS理論の図がこの「人間力の五つの力」の図と酷似しているではないか!

下の図と上の図を見比べて欲しい。


戦略BASiCS理論


知識を示す『知力』と『Asset(独自マーケティング資源)』、姿勢や関係性を示す『感力』と『Customer(顧客ターゲット)』、スキル・手法を示す『行力』と『Strength(強み・差別化ポイント)』、目的やビジョンを示す『活力』と『Selling Message(売り文句)』そして状況・環境を示す『場力』と『Battlefield(競争する市場)』全てが関連付いている様だ。


そして我々の仕事は言うならば、お客様の強みをどう表現するか?であり、
目的やビジョンを示す『活力』と『Selling Message(売り文句)』ではないかと思う。


今、私が関心をもっているマクロビオティック、石門心学、メンタリング、マーケティング理論、感性価値。。。まるで全てが繋がっているようだ。

2008年07月18日 23:58 | コメント (0)
2008年07月19日

AIDMAからAISCEASといわれるが。。。

昨日は、心学明誠舎のセミナーの前に、実はもう一つセミナーに参加していた。
AllAbout主催のセミナーである。


そこで頂いた資料の中に、購買プロセスは「AIDMA」の法則から、「AISCEASS」へという記事があった。


AIDMA(アイドマ)の法則は1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホールという人が提唱した、マーケティングの世界ではよく知られた古典的な、消費者の購買行動の心理プロセスの理論だ。


Attention (注意)
Interest (関心)
Desire (欲求)
Memory (記憶)
Action (行動)


これに対して近年のネット社会においての購買行動プロセスを、国内広告業界最大手の電通は2004年1月に「AISAS」(アイサス)(電通の登録商標)であると提唱した。
(参考)エキサイト-インターネット広告用語辞典


Attention (注意)
Interest (関心)
Search (検索:インターネットですぐ検索し)
Action (行動、購入)
Share (共有:SNSやブログなどのCGMで商品の評価をネット上で共有しあう)


また、さらにこのプロセスを補完細分化し、「比較」、「検討」というプロセスを加えた理論を(有)アンヴィコミュニケーションズ代表取締役の望野和美氏が提唱した。
それが下記のAISCEAS(アイセアス)モデルで、最近はこちらが有名な様である。


Attention (注意)
Interest (関心)
Search (検索)
Comparison(比較)
Examination(検討)

Action (行動、購入)
Share (共有)


で、昨日のAllAboutのセミナーで配布された資料には、さらに「Share (共有)」の前に「Satisfaction(満足)」が加えられ「AISCEASS」となっていた。


さて、この「AISCEAS」もしくは「AISCEASS」理論の中で、「Comparison(比較)/Examination(検討)」のプロセスだが、サイトリサーチすると、「【価格比較サイト】などで比較、検討し・・・」と解説されている例も多かった。


私としては、ここにすこし抵抗がある。


別に反論を述べるつもりではないが、先日、当ブログでも記述したが、経済産業省も推進する新たな価値として【感性価値】という概念があり、また最近【共感マーケティング】が叫ばれる時代である。


然るに、価格や性能を比較検討というようなプロセスも、もちろんあるのだが、私はむしろ「Comparison(比較)/Examination(検討)」よりも「Empathy(共感)」して「Action (行動、購入) 」されるほうがより理想的ではないかと思う。


そういう意味で、あえて、私はこれからは「AISEAS」(アイシーズ)だと提唱してみたい。


Attention (注意)
Inspiration (創造的な刺激、ひらめき)
Search (検索)
Empathy(共感)
Action (行動)
Share (共有)

2008年07月19日 23:57 | コメント (0)
2008年07月20日

新幹線に乗って

今日は、今日から明日にかけて東京で開催のTL経営研修機構というところのシリーズ・セミナーに参加するために新幹線で東京に向かった。

そのセミナーでの学びはまたお伝えすることとして、今日は新幹線にまつわることを書いてみたい。


新大阪を11:00発ののぞみ12号に乗ったのだが、最新のN700系の車両だった。
年に何度かは東京出張する機会はあるが、この新型車両に乗るのは初めてであった。

車両も新しくきれいで、シートもゆったり感がある。


それより第一に嬉しい発見は窓側の席の下に電源コンセントが設けられていたことだ。
以前から、2時間半の移動時間にパソコンを利用したく、バッテリーの弱った私のPCを利用するのに、パソコンの電源が採れればいいのにと思っていたがついに実現された。

今回は窓側座席は取れなかったが、次回はN700系車両の窓側座席を予約するようにしよう。


そう思いながら、車両前方の電光ニュース掲示板に目を向けると、次のようなメッセージが流れる。


「航空機に比べてエネルギー効率が高い新幹線。1座席あたりのCO2排出量は航空機の1/10。N700系の投入でさらに地球温暖化防止に貢献する新幹線。新幹線で出張−これもひとつのエコです。新幹線でECO出張。」


地球温暖化防止に関心が高まる今日、ビジネスマンに向けた売り文句のようだ。


一方で先日、当社の女性スタッフがJRの一枚のチラシを持ってきてくれた。
「夢の超特急ふたたび」のチラシ夢の超特急ふたたびのチラシ

内容は懐かしい初代新幹線の0系新幹線にもう一度というような内容だ。

世界初となる時速200kmの壁を打ち破った高級列車として、人々の夢やロマンを乗せ、高度成長期を駆け抜けた0系新幹線。
1964年の登場以来40年にわたり活躍してきたこの0系新幹線が2008年11月にその輝かしい歴史に幕を降ろす。
新幹線が開通した当時のボディーカラーで再び走り出した0系新幹線。


「夢の超特急ふたたび」


憧れの新幹線に乗るワクワク感とあの頃の夢を思い起こさせる趣向だ。


JRのマーケティングもいろんなことを語りかけてくれて参考になる。

2008年07月20日 22:54 | コメント (0)
2008年07月24日

マーケティングは嘘を語れ!

先日より、「パーミッション・マーケティング」の著者でも有名なセス・ゴーディンの最新刊の「マーケティングは嘘を語れ!(原題 All Marketers Are Liars)顧客の心をつかむストーリーテリングの極意」を読んでいる。


かなり過激なタイトルであるが、内容は実に興味深い。

マーケティングは嘘を語れ!マーケティングは嘘を語れ!” style=

近年、世の中にはモノが溢れ、私たちは豊かになり、普段、どうしても必要な(ニーズのある)(コモディティ化:日用品化・普及品化した)モノよりも、意外と、別に必ず買わなくてはいけない必然性はないが、なぜか欲しくなって(いわゆるニーズからではなくウォンツから)買ったモノの方も多いことだろう。


この書籍では、こうしたウォンツを満たすモノの購買には、消費者の世界観に合った物語(ストーリーテリング)が重要だと主張する。
また消費者は「本当の話」よりも、「信じられる物語」を聞きたがっている。だから優れた物語を作ろう。というのがこれからのマーケティングの合言葉となる。というような内容だ。


実際、私自身も、こうした物語性に興味を感じ、共感して、必然に迫られた訳でもないのにそれが欲しくなってモノを買った経験も多い。


先日、近年マーケティングで購買プロセスを表すAISCEAS理論の話題を当ブログで書かせていただいたが、セス・ゴーディンの同書を読んでいると、ニーズをベースとした必需品(コモディティ)の場合は、確かに価格や性能比較が重要な購入の指標となり、検索(Search)して、比較(Comparison)、検討(Examination)するプロセスが重要となるだろうが、消費者のウォンツを満たすモノの購買には、むしろ共感(Empathy)を呼ぶ優れた物語が重要なのではと改めて感じた次第で、私としては、やはり今後は、「AISEAS」を独自の理論として唱えてみたい。


ところで、ここでポイントなるのは、その物語が消費者の【世界観】という「価値観」や「信念」、「偏見」などの枠組みに合った物語であるかどうかということであり、そうした消費者の世界観にマッチして共感されるかが課題である。


つまりは、製品や商品そのものの仕様やスペックそのものよりも、顧客の世界観に訴えるかどうか?が重要で、やはり結局は本書内でも言われることは、作り手の理屈のプロダクトアウト的発想よりも、より顧客視点のマーケットイン的発想が求められるということだろう。


また、一方で本書ではストリーテリングのスキルテクニック的なことも紹介されているものの、「・・・嘘を語れ!」のタイトルに対して、むしろ物語られるモノそのものは、ホンモノでなくてはならず、マーケッターの倫理観も重要であると述べられている。


当然ながらいくら物語が語られようとも、最近世間を賑わすような食品偽造問題などのようでは、長く支持されるものにはならない訳だ。

2008年07月24日 23:58 | コメント (0)
2008年07月25日

創業100年を目前にして、強みの源泉とはなんだろう。

昨日今日は、家業である(株)木幡計器計器製作所へのご来客で大正区の事業所にて従事した。


現在、弊社の顧問としてご協力を頂いているのは、弊社のお客様で大手ボイラーメーカーの元購買部長としてお勤めになられていた方である。


厳しくも大変人情味の深い顧問には、ご在職中より大変懇意にして頂き、現在の弊社の主力お取引先の多数をご紹介いただいた。


そして定年退職をされた機会に、遠方ではあるが是非にと弊社にお迎えして、今は年に数度ご来阪頂き、弊社にて社員の指導と社内改善並びに営業サポートを頂戴している。


今回は、昨日と今日の2日間にその顧問のお声がけで、某バーナーメーカーの社長様と、顧問のご紹介で数年前より、弊社とお取引を頂戴しているポンプメーカーの取締役営業副本部長様と、そしていつもご支援を頂いている某商社の大阪所長様、某商社の営業係長様と4社6名の方々に工場見学をして頂きご面談を頂いた。


そして皆様方に、営業的な視点を含め、大変貴重なアドバイスを多数頂戴した。


弊社(株)木幡計器計器製作所は来年、創業の明治42年より数えて100周年を迎える。


その節目の年を目前にして、ここ数年の多くの取り組みにより、少しづつではあるが着実に体質改善を遂げてきており、成果も見え出して来ている。


それも顧問をはじめ、弊社をご支援いただく多数の方々や、いつも頑張ってくれている社員の皆さんのおかげであると、本当に心より感謝申し上げたい。


また、私はこの2日間で改めて弊社の強みは何か?という点を考えさせていただいたのであるが、やはり改めて思うのはその一番の源泉は人的資源ではないかと思う。


私たちはこうしたご支援いただく方々のおかげで、これまで100年もの長きにわたって事業を営んでこれたのだと思う。


そして、その人的資源となる人と人との関係には、共感を生み出す物語がいつも介在していたのでは?ということに気づいた。


そもそも顧問との20年以上来に及ぶご縁も、弊社の先代社長で私の祖母が社長就任後のご挨拶に一人でご訪問したのが切欠であったという。


当時、こうした工業製品分野の会社の経営者としては珍しい60歳程の女性社長が、たった一人で大手企業に恐れずご挨拶に伺ったのは大変珍しいことであったようだ。


そこで先代社長は、弊社の歴史と自らの思いを語り、それに感銘して下さった当時購買ご担当であった現顧問が、その後、それまで6,7社の計器メーカーと購買お取引のあった中、弊社一社に統一頂いた経緯がある。

そんな祖母である先代社長との出会いが顧問にとって物語となり、顧問はこれまでご紹介頂いた多くのお客様にもいつもこの物語を語って下さった。


昨日のブログ記事で、マーケティングにおける物語の重要性を解説したセス・ゴーディンの新刊著書を紹介したが、実は思えば、弊社にとっては、このとても貴重で稀有な顧問とのお出会いのご縁にも、こうした物語が起因していたのだと思えた。

2008年07月25日 23:56 | コメント (0)
2008年07月26日

私のスピーカーのストーリー

前にもご紹介したが私は、高校生時代からのオーディオ好きである。
大学卒業後社会人になって以降暫くブランクはあったが、また何年か前に復活し今に至る。しかし、また結婚して子供が出来たので、暫くはまた凍結だろう。(苦笑)


さて、一昨日、紹介したセス・ゴーディンの新刊書「マーケティングは嘘を語れ!」は、物語の重要性がテーマであったが、自分自身のことを振り返ってみると、趣味の分野でまさに物語に惹かれ、買い物をしていたことを思い出した。


それは私の所有する愛機、Cadenza(カデンツァ)と言う名のスピーカーの物語である。


もう数年前になるが、私は新しいスピーカーが欲しくて購入を検討していた。
望んでいたのはマンションという住環境で、コンパクトながらも、豊かな音が得られるスピーカーだった。


当初は、イギリスのKEFというメーカーのKHT9000ACEという型式のスピーカーが、候補となり、実際その機種を大阪日本橋のオーディオ専門店に試聴しに行った。


そのスピーカーに興味を惹かれた理由は、スピーカーには珍しく、薄くてコンパクトなアルミダイキャストボディに活性炭をつめることにより、スピーカー内部の容積が、1.7倍に相当し、それにより形状からは想像出来ない豊かな音が得られるという情報を入手したからだ。


こうした変わった造りのスピーカーというだけでも、十分話題性があり、この話を聞けば、あまりオーディオに関心の無い人でも少しは興味を感じはしないだろうか?


実際に試聴し、確かに良い音で大変気に入り、「よしこれにしよう!」と半ば決めながらも、その日はもともと視聴のみのつもりであったので、後日改めて購入するつもりで気をよくして店を出た。


その後、2軒続きの隣のオーディオ専門ショップもついでに覗いたのだが、ここで実はさらに物語性の強い、それまで全く名前も知らなかったメーカーのスピーカーに、さながら運命のごとく出会うこととなる。


マイクロピュア Cz102マイクロピュア Cz102

そのショップに入り、何をという訳でもなく、2階のフロアに上がると、店の奥の試聴室から、実にリアルなサクスフォン音とドラムの音が聴こえて来て、思わず驚いてカーテンの向こうの試聴室に入ると、一般にブックシェルフ型といわれる極普通のコンパクト小型スピーカーからとんでもない音が出ているではないか!


思わず聴き入り、「何処のスピーカーですか?」とお店の人らしき方に聞くと、その人はお店の方ではなく「パストラルシンフォニー(現在社名はマイクロピュアと変更されている)というブランドで、私が製作者です。」と言われるではないか!

まさか製作者(福田三恭司氏)ご本人とは思いもよらず、さらにいろいろとお話を伺った。


元々ご本人はPAというコンサートやライブまたレコーディングスタジオ等で音響技術に携わるお仕事をされていたが、普段、実際の生演奏の音と、モニター用スピーカーの音とのギャップを感じながら、ご自身で最初は趣味でスピーカー工作をされていた。


するとある時、工作作業中に、ふとした拍子に手元を誤って、手に持っていたマイナスドライバーを落としてしまい、それがスピーカーユニットと、それを取り付けるエンクロージャーと言われる四角い箱の間に、すっぽりドライバーが刺さり、するとその途端に驚くような音が鳴り出したそうだ。


その後、研究、試行錯誤を繰り返すうちに、その構造上の微妙な隙間があることでこの音が再現されることを付きとめられ、それがこのスピーカーの特許であり、この音の秘密だと言われた。


そして、その製作者ご本人は、箱の木の材質も吟味され、このスピーカーをガレージメーカーとしてお一人で一から制作され、今では大手テレビ民放キー局のスタジオモニターとして採用されたり、名古屋で開催された愛・地球博覧会の日本政府館にも採用されるまでになったと言われる。


そしてこのCadenza Cz102 といわれる同社のデビューモデルは、「“100 年かけて育った木は100 年以上使い込める物へ”というヨーロッパの伝統家具工芸の思想から学び厳選したナラ材の単板からハンドメイドで作り上げています。ですのでお届けできるのは受注後、1ヵ月後になります。」とのことだった。


また、「このスピーカー作りは大変ですが、長寿のナラの木の香りの中で仕事をしているといつの間にか疲れもなくなります。」ともお話下さった。


私はその素晴らしい音と、製作者本人の福田氏が語る熱い思いの物語に、思わずその場で、注文をしてしまっていた。


そして、福田氏は「ありがとうございます。私の作ったスピーカーをこうしてご注文を頂くと、それこそ愛娘の嫁ぎ先が決まったような気持ちでとても嬉しいです。これでこの機種は、大阪では4番目のオーナー様です。」と教えてくださった。


その後、同社はアメリカのオーディオショウでも絶大な評価を受け、今では日本の新鋭スピーカーの中でも、異彩を放つ人気のメーカーとなられた。


この物語は、私が、既に直前にこれに決めたという購買動機を完全に覆し、予約注文させるほどの力強いストーリーだと思うが、ただ、それは単にその物語が強力だと言うだけではなく、セス・ゴーディンが言うようにこの製品が真に優れたホンモノの製品であり、製作者の真摯なものづくりの姿勢に私が心を打たれたからでもあると思う。

2008年07月26日 23:56 | コメント (1)
2008年07月27日

恐るべしムッシュムシパン!

休日の今日は、朝から生後5ヶ月の娘を連れて妻と一緒に、大阪市阿倍野区にあるあべの王子商店街まで出かけた。


目的はといえば、蒸しパンである。

蒸しパン
で、そもそもなんで蒸しパン?かというとたまたま前日に購入した大阪のタウンガイドムック本の「世界レベルの大阪ええもん」という本に、この「ムッシュムシパン」というお店が紹介されており、その記事の紹介が「日本初(たぶん)、蒸しパン専門店」となっており、興味を引かれ、それに美味しそうで、蒸しパン好きの妻のリクエストもあって朝から繰り出した訳だ。


実際に行って見ると、まず、あべの王子商店街は、大阪の下町の昭和レトロな感もある小さな商店街だが、よく最近の商店街は閑散としていると言われるような感は少しもなく、下町の素敵な人情味が漂っていて、何故だかとっても活気付いているように思えた。


実に個性的なお店も多く、ディスプレイのされかたも工夫されたところが多いのか、なんだかワクワク感がある。きっと商店街組合も恐らく活性化していて、地域コミュニティーとの調和も良くされているのだろうと察知できた。

蒸しパン


そして、目的の蒸しパン専門店の蒸しパン屋さん「ムッシュムシパン」さんに到着。


小さなお店ながら、明るく開放的でその店名からも小洒落た感じのあるお店で、陳列された蒸しパンはどれも美味しそうで、とても繁盛している様子だ。

店内


店の片隅には、お店のキャラクターかキノコのようなぬいぐるみと、どうやら週刊でお店が発行してしておられる「ムシパン新聞」というのが3週分、置かれていて、いろんな集客努力を熱心にされておられる感じがした。


店内


私たちは、きんぴらごぼう、スパイシーカレー、紅茶、きなこ粒あん、塩炊き大納言、丹波黒豆・栗の蒸しパンを購入した。食べてみるとこれが、どれもとっても美味しい。


自宅に帰ってから、このお店のホームページを拝見したのだが、実に素晴らしい。


驚いたのは、店主の渡辺さんを始め、スタッフの皆さんが皆さん毎日ブログを書いておられるのだ。それに、ホームページがユーモアに溢れ、実に楽しい。
なるほどファンが増えるはずだ!もちろん、蒸しパンはとっても美味しいのだが、そこには物語が多く語られ、極めて素晴らしいマーケティングが展開されている。


ホームページの「活動」のページを拝見すると、どうやら、店主の渡辺氏は、繁盛店になるためのビジネスセミナーの講師もされておられるようだ。


ブログの中で、渡辺氏はこう語られている。


「今回のセミナーでは『集客』というテーマで語らせてもらいました。
(中略)実はその『秘訣』はごくありふれた手法、要するにムッシュムシパンは目新しいことなど何もしておらず、
ごくごく当たり前ながらも、非常に重要なことを毎日真面目に続けているだけで、いつの間にか、たくさんのお客さんに集まってきてもらっていた。。

つまり、『集客』のために必要なことは、目新しいマーケティング技術や集客を見込めるイベントを企画することではなく、「ちゃんとした仕事」「プロの仕事」を地道に続けていくことです。」


手法に偏ることなく、やはりまずは、基本となるプロとしての姿勢を大切にされておられるところに、共感させていただいた。


しかし、このマーケティング力に長けた蒸しパン屋さん。
恐るべし「ムッシュムシパン」という感じである。

2008年07月27日 23:58 | コメント (0)
2008年07月28日

良いものが安ければ売れて当然??

今日は、弊社ホームページからお問い合わせを頂いた企業様へ3度目の訪問打ち合わせを行なった。


同社は一般消費者向け製品のメーカーであり、前回弊社が行なったサイトコンセプト提案に基づき、2時間半かけてサイト構成の擦り合わせを行なった。


今回、その打ち合わせの中で、製品の販売価格のことが話題となり、価格設定について弊社よりご提案申し上げたことがあったので、今日はその事について少し書いてみたい。


日本のものづくり企業は、これまで「良いものを安く」という神話を信じ続けてきた。


確かに、良いものが安ければ、それにこしたことはないし、ユーザーも喜ぶと思うのは当然だが、果たして本当に「良いものを安く」がよいのだろうか?


一方で、ニッチな高級品が売れ、手に入りにくいものは予約が殺到して人気であるというケースがある。これらは、こだわりを求め、価格を気にしないこだわり層には「良いものを高く」という方がうけるという事例だと言えよう。


これまで、日本のものづくり企業にとっては、良い品質のもの安く売ることが企業使命でもあり、ものづくりの製造現場では、改善を重ね、そこで国際競争力を高めてきた経緯がある。


今では、生産拠点を中国・東南アジアに移し、安くて品質の高いものは、世界の工場となった中国・東南アジアで数多く生産され、かつ、近年は生産だけではなく現地の製品開発力も年々高まってきている。
先日もこのブログで紹介したが、そんな状況に危機感をもった政府でも、今後は新しい競争軸として「感性価値」を提唱している。


だがそうした「感性価値」の重要性に気付きながらも、これまで高度経済成長を続け、マスマーケットの大量生産大量消費で、品物もたくさん安くつくることを長年経験しつづけた我々日本人には、今でもまだ「良いものが安ければ売れて当然」という発想から抜けきれない面もあるのではと感じる。


今日伺った同社はこれまで、テレビ通販などを通じて、数多くのヒット商品を作り販売実績を重ねてこられたが、従来のバイヤー主体の販売手法のみでは、段々、製品ライフサイクルも短くなりがちなようだ。


一般に製品ライフサイクルの成熟期から衰退期にかけては、製品価格のディスカウントがとられることも多い。


今回の場合でも、同社のメーカー直販サイトの強化策として、当初、戦略の一つの柱に低価格戦略を考えておられたが、私はあえて反対意見を述べさせてもらった。


というのも同社は、これまでものづくりの基本姿勢は、真面目に製品実証試験も多くされ、本当に良い製品作りをされてきておられる。
それだけに、今後新しいサイトでは、これまであまりうまく伝えることが出来ていなかったこうした面を、しっかり語り、「共感」を生むことをして行きたい。


さらにユーザー層を絞ったWEB戦略で、ブランド価値を高めることを考えている。


実際に全く同じ商品でも、対象ユーザーを変え、今までとは違った面を訴求することで一挙に売り上げが変わることがある。
聞けば実際過去にそんな経験も同社はお持ちのようだ。


そのためには、あえて価格を下げることはしないで欲しいとお願いし、従来通りの標準定価設定にて、ご理解・ご同意をいただけた。


価格を下げることはいつでも出来る。
一方で、現在の物価高騰の状況下ですら、値上げは通常難しい。


安易に価格を下げて販売量をねらうのではなく、仮に下げるとしても理由付けが必要である。
もし価格を下げるとするならば、必ず数量限定とか、期間限定の時限設定を設けるべきである。


また、価格は下げないでも、別にちょっとした特典やサービス向上に、その資源を充てるべきだろう。
むしろその方が、喜ばれるケースもある。

2008年07月28日 23:26 | コメント (2)
2008年07月30日

『プロダクトアウト』と『マーケットイン』

マーケティング用語に【プロダクトアウト】と【マーケットイン】という概念がある。


【プロダクトアウト】は、作り手の視点で、自社で作りたいもの、作りやすいものを作り市場に送り出す、「作ったものを売る」という発想。


【マーケットイン】は、市場のニーズを汲み取って、ユーザーの視点で売れるものを作るという発想。


で、よく「はじめに顧客ありきで、プロダクトアウトからマーケットインへの転換が必要」などといわれることが多い。


ホームページを考える上でも、このユーザー視点での【マーケットイン】発想が大変重要である。


このマーケットイン的なユーザー視点での発想は、意外と判っていそうで、なかなか難しいものだ。


例えば、ショップサイトで製品の品質を説明する際を考えてみると、「品質管理について」という見出しでの紹介と、「品質保証について」という見出しではどちらがよりマーケットイン的だといえるだろうか?


もちろん、「品質管理」と「品質保証」その意味するところは本来違うのだが、同じ品質について語られる場合でも、ユーザーにしてみれば、「品質保証について」語られる方がより身近な問題として感じられると言えるだろう。


我々もいつもこのマーケットイン的な視点で考えることを心がけているが、我々ホームページ制作者側自身も、ともすれば、ついついお客さんの立場を無視して、新しいwebの技術や機能ツール等を勧めてしまうということもありがちだ。


例えば、お客様の実際の運営を考慮せずに、ブログツールなどの機能を提供して、それが十分に使われないことなどもある。


我々自身も、そんなことにも注意して、配慮しなければならない。

2008年07月30日 23:50 | コメント (0)
2008年08月02日

テーマサイトの薦め

昨日はSEO対策上で効果が高い「サブページのカテゴリ登録」ということについて述べた。
今日はさらに、カテゴリ登録をするのには、より相応しいともいえる【テーマサイト】について書いてみたい。


さて、昨日も述べたが、テーマサイトとは、ある分類別けされたカテゴリのテーマについて、専門特化して情報を充実させたサイトのことである。


企業経営戦略の手法として、自社の事業領域(ドメイン)を絞り込んで、そこに資本集中投下するコア・コンピタンス経営戦略や、マーケティング分野では、顧客ターゲットを絞り込むことや、専門性を高めることで、他社との差別化をはかり、強みを強化する戦略がとられることがある。


テーマサイトの概念は、これらの企業戦略と同様であるといえる。


つまり、WEBサイト上の情報を、あるテーマでくくり、細かく絞り、さらに深く充実させることで、あるニーズをもったユーザにって、とても便利で有益な情報を提供する戦略サイトとしての位置づけがされる。


こうしたあるテーマ分野で情報が充実したテーマサイトで、かつ、特定のユーザにとって利用価値が高いテーマサイトを、バーティカルポータルサイト(vertical portal site)ボーダルサイト(votal saite)と呼ぶこともある。


バーティカル(vertical)とは、「垂直な」の意味で、ポータル(portal)は「入り口の」という意味であるから、バーティカルポータルサイトやボーダルサイトというのは総合ポータルサイトに対して専門ポータルサイトという意味となる。


こうした専門テーマサイト(ボーダルサイト)では、対象となるユーザーが限定されるため、効果的なマーケティングが可能となると言えよう。


それでは、ここで、具体的なこうした専門テーマサイトの事例として、私が過去にクライアント企業にご提案し、弊社が制作させて頂いたWEBサイトの事例をご紹介しよう。


東京にある(株)ライブラリー様は、画像処理パッケージソフトの開発及び販売とそれらに付随するハードウェアについても手がけられるメーカーである。


モーションキャプチャー実践入門ガイドモーションキャプチャー実践入門ガイド webサイト


同社の画像処理パッケージソフトは、主には、ものの動き等を解析するソフトで、大学等の研究機関や、大手企業の研究開発部門で、人間工学やバイオ・医療などの解析分野の研究に利用されている。


そして、そのソフトを利用するに当たっては、モーションキャプチャーといわれる画像解析法が利用されるケースが多い。


しかし、そのモーションキャプチャーシステムの具体的な利用方法については、これまで詳しく解説されたサイトも少なく、一般には広く認識されていない技術でもあり、画像解析の初心者の研究者にとっては判りづらいものであった。


そこで、私がご提案したのは、モーションキャプチャーシステムを使い慣れない入門者の方(同社にとっては、今後の潜在顧客層でもある)に対して、これらの利用方法を判り易く丁寧に説明したモーションキャプチャーの知識情報テーマサイトの構築である。


そして出来たのが、「モーションキャプチャー入門実践ガイド」というサイトである。


これからこの道のプロとなる方々にとって、その専門分野での最初のわかりやすい解説は、その人にとっての最初のバイブルとなる。


さらにこのサイトでは、あえて(株)ライブラリー社の製品広告は表に出さず、企業色を薄め、運営会社としての紹介に留めて中立的な立場のサイトとすることで、公益性を出している。


そうすることで、SEO対策上も、重要キーワードの「モーションキャプチャー」で上位検索されるサイトとして成果を上げている。


マーケティング志向で、企業イメージのブランド化と、SEO効果を高めた戦略的テーマサイトの一つの事例である。

2008年08月02日 23:09 | コメント (0)
2008年08月04日

キーワードについて考える

今日はWebマーケティングを左右する【キーワード】について書いてみたい。


以前このブログで、「AIDMAからAISCEASといわれるが。。。」というお題で、購買プロセスの法則の記事を書いた。


そこでも記したように、インターネットが普及した現代には、新たに Search (検索)というプロセスが加わり重要な位置を占めるようになった。


今や判らないことや、興味を感じたこと、知りたいことは何でもインターネットでキーワード検索するというのが定着し一般化している。


その Internet Search (インターネット検索)の際に、使われるのが、【キーワード】だが、この【キーワード】については、顧客視点で考えることがとても重要になる。


実際に、インターネット検索に利用されるキーワードにどういったものが使われるのか?


それを知るのに以前重宝したのは、オーバーチュアの「キーワードアドバイスツール」という無料で利用可能なサービスであった。
ここでは、毎月、知りたいキーワードと、それに関連づいたキーワードの検索数を調べることができた。しかし、残念ながら、昨年2007年の5月でサービスを終了した。


その後、キーワードアドバイスツールに替わるものとして良いものはないかと私も探していたが、オーバーチュアのサービス終了からちょうど1年経て、今度は、クロスリスティングが有料で同様のデータを提供始めた。


それは「キーワードハンター」というサービスだ。


キーワードハンターキーワードハンター webサイト
利用価格は、ベーシックプランが、31,500円で1,000ポイント、1検索あたり1ポイント(有効期限6ヶ月)ということで、1,000回検索が可能なようだ。


特筆すべき最大の特徴は、「キーワードアドバイスツール」になかった過去の検索履歴が調べられるところだ。


その上のプレミアムプランは業者向けで、複数のキーワードをまとめてCSVダウンロードできる機能があるようだが、150万と非常に高額だ。


この他にも無料で利用できるものとしては、Google AdWordsの「キーワードツール」や、事前のユーザー登録で利用可能な「フェレット」、「キーワードアドバイスツールプラス」などがある。


これらを利用することで、検索に使われるキーワードの動向を知ることができる。


これらから、ユーザーの関心事や、その視点を把握することが重要だといえる。

2008年08月04日 23:40 | コメント (0)
2008年08月05日

キーワードについて考える(その2)

昨日は検索キーワードの動向を知る上で参考となるサイトをいくつかご紹介した。


一方で次に自社サイトにYahooやGoogleなどの検索エンジンサイト経由で訪れる来訪者がどのようなキーワードを使って来訪したかは、通常、アクセスログ解析により知ることができる。


アクセスログ解析については、また改めて別の機会にご説明したいと思うが、レンタルサーバを利用されている場合は、標準サービスかもしくはオプションサービスで、ある程度のアクセスログ解析機能が提供されている場合も多いので確認してみて欲しい。


ところで、昨日も検索キーワードについて考える際には、ユーザー視点で考えることが重要であると述べたが、この来訪キーワードを眺めるだけでも、ユーザーがどんな情報を求めて自社サイトを訪れたのかをある程度把握できる。


例えば、「ホームページ制作会社 + 大阪」や「フィットネス + インストラクター + 募集 + 大阪」、「格闘技 + 護身術」、「ホームページ制作 + 価格」など、検索キーワードを眺めていると、そこからユーザーの関心事が推察できる。


ただ、このアクセスログ解析から得られる検索キーワードは、当然ながらそのキーワードが自社のホームページのどこかに記載され、本文中に利用されているキーワードにヒットするものである。


従って、場合によっては昨日ご紹介したキーワードの検索動向を知るサイトで知り得た検索数が多いキーワードが、自社サイトのアクセスログ解析結果に出現して来ない場合は、そのキーワードがホームページで利用されていないための機会損出のケースも考えられる。


この場合は、キーワードの見直しと、ホームページ上への対策を検討するべきかもしれない。


また、さらに詳しいログ解析を行うことで、各ページ毎に来訪キーワードをチェックしたり、閲覧参照時間とキーワードを細かくチェックしたりすることで、来訪数が多い検索キーワードに対して参照時間が短いページはそのキーワードに関する情報が不足しているとも言えるので、掲載内容(コンテンツ)を充実させる必要があるといえる。


この様に、昨日紹介した検索キーワードの動向調査が可能なサイトと、自社のアクセスログ解析を双方うまく活用することで、顧客視点と、顧客動向がある程度憶測できるのである。

2008年08月05日 23:28 | コメント (0)
2008年08月06日

キーワードについて考える(その3)

「自社にとっての重要キーワードが何であるか?」ということについて定義することは、自社のホームページをより効果的なものにするためにとても大切なことである。


さらに出来れば、数多く挙がりそうなキーワードの中でも、まずは、最も大切な【最重要キーワード】が何であるかについて、必ず1つか2つに絞り込んで頂きたい。


というのも、現在、WEBマーケティング上で最重要ともいえる検索エンジン対策(SEO)を考える上では、欲張って多くのキーワードで、それぞれ上位検索を狙おうとしても実際には難しいからである。


そこで、限定して絞り込まれた最重要キーワードについては、ホームページ構造上でのSEOチューニングを施し、その他のキーワードについては、オーバーチュアGoogle AdWordsなどのPPC広告(クリック課金型広告)を併用されることをお勧めする。


また、【最重要キーワード】を選定することは、マーケティングの分野の用語で、USP(Unique Selling Proposition)といわれる「自社ならではの独自の強み」を考えることや、以前に紹介したBASiCS理論の各要素を考えることにも通じる。


また、一昨日と昨日のブログ記事で、キーワードについて考える際に、キーワード選定支援のための各種ツールと、アクセスログ解析の活用をご紹介したが、いずれを活用する場合も、常に顧客の視点で考えることに留意することが最も重要なポイントとなる。


がしかし、この顧客の視点のキーワード選定が意外と難しい。
では実際に、顧客視点のキーワード選定を、具体的な事例でもってお話したい。


ある住宅リフォーム会社があり、そこはお風呂の設備リフォームが最も得意であった。


そこで、当初考えられた最重要キーワードは、同社で最も修理工事件数の多い風呂釜の修理を取り上げ、『風呂釜 修理』が挙げられた。


しかし、キーワード選定ツールなどから見ると、実際に検索数の多いのは同社が当初選んだ『風呂釜 修理』ではなく『風呂 修理』であった。


考えてみれば、リフォーム専門会社にとっては、お風呂の中でも、実際に壊れやすい火を焚く「風呂釜」が当たり前の用語となっていた。


しかし、一般の方には、実際に屋外に取り付けられていたりする風呂釜が壊れていることが目に付くのではなく、お風呂の調子が悪くなれば、"浴槽”や"風呂釜”といった細分化された「風呂釜」の部分を特定するのではなく、単に『お風呂の修理』というのが、普通に出てくる言葉なのだ。


また、こんな例もある。あるファイナンシャルプランナーの方は、当初『節約』というキーワードを最重要キーワードとして考えていらした。


しかし実際、このキーワードではそこそこヒットして反応はあるのだが、メールでのお問い合わせが増えても、実際に仕事となる良いクライアントにはなかなか巡りあえなかった。


そこで最重要キーワードを考え直し、『節税』とすることにして、ホームページもチューニングし直した。


するとそれまで多かった家計のやりくりを考える一般の主婦の方などのお問い合わせから、実際にクライアントとなる高額所得の方からの問い合わせが増え、受注を獲得できるようになったという。


このような実例からも、実際の自社にとって相応しい顧客が誰であり、その顧客がどのようなキーワードを使うのかについて、徹底的に吟味することが重要であるといえよう。

2008年08月06日 23:58 | コメント (0)
2008年08月12日

届かない感性価値

本日伺ったあるメーカーでの打ち合わせで、ある売れない商品のことが話題になった。


その商品の性能は優れている。
扱い方も簡単である。
価格も適正である。
それを利用した効果も高く、その実証データもある。
利用者の反響も良い。


つまり、その製品はメーカーとしても自信のある、事実、優れた商品なのだ。


また、さらにその商品は従来の同アイテム品とは違う独自機構を持った特許製品であり、まさに他社にはない同社だけのオリジナルの製品である。


しかし、売れない。


何故だろう。

本当に売れないのか?というとそうではなさそうだ。


というのも、展示会で同社の社長が自らその商品説明をすればすぐ売れる。
しかも、お客さんは自分で利用するだけではなく、親戚の分までと、複数台売れてしまう。


売れない理由の最大のポイントは、その商品の価値がこれまで語られてこなっかったことのようだ。


というようり、厳密に言えば、その価値を語る機会が与えられなかったからなのだ。


というのは同社はメーカーとして製品を売り手に流すのだが、バイヤーがその製品の価値を十分に理解してくれていなかったり、テレビ通販などは、機能が優れ良い品で価格は相対的に適正であっても、値頃感のある安いものでないと売れないと扱ってくれない様だ。


つまり、同社の従来からの販売チャンネルでは、バイヤーレベルでその価値の伝達経路が閉ざされ、その価値が消費者まで届いていないのだ。


そうした作り手の感性価値の伝達には、販売流通の果たす役割が大きく、サプライチェーン全体での取り組みが課題となる。


ちょうど今私がよんでいる小阪裕司氏の著書「そうそう、これが欲しかった!感性価値を創るマーケティング」の中にもこうした売り手の領域全体で取り組むということが、ビジネスを危機に陥れる3つの忘れられた課題の1つとして紹介されている。


作り手が直接語ると売れて、売り手レベルでは売れない。


ここには価値伝達の手法に問題があり、それを如何に伝えるかが問われ、同社のホームページを担わせていただく我々にも重要な役割があると言える。

2008年08月12日 23:23 | コメント (0)
2008年08月13日

三代目鈴木紀夫

三代目鈴木紀夫、このブログタイトルから一体何をイメージされただろう?


私のブログ記事を何度かご覧頂いた方なら、きっとどこかの老舗企業の三代目経営者の話だろうと思っていただいたのではないかと思う。


確かに、ある意味それは一部正解とも言えなくはないが、実はこれ、【おむすび】の名前なのだ。


『お・む・す・び???』


そう、おむすび。


東京銀座にある『十石』というおむすび専門店の南蛮味噌おむすびの名前なのだそうだ。

銀座「十石」銀座「十石」
先ほど、一部正解と言ったのは、このおむすびの名前のは、由来はこの南蛮味噌の生産者の名前をそのままおむすびの名前としてネーミングされたからだ。


しかし、おむすびの名前としては奇抜な名前である。


どうやら、お店に入ったお客さんも始めてこの商品値札を目にすると、自分の目を疑いあらためて見直すのだそうだ。


この現象を私が大学で専攻していた社会心理学では【認知的不協和】という。


【認知的不協和】とは、「人は普段自分が認知しているものと違うものと遭遇するとギャップが生まれ、不協和が発生する。すると心理的にこの不協和を解消しようという衝動に駆られるという性質をもっている。」という人の心理を表す用語である。


先日紹介したセス・ゴーディンの著書「マーケティングは嘘を語れ!」のタイトルもまさにこの認知的不協和の心理テクニックを利用してデザインされたものである)


これが、「南蛮味噌」という普通の名札ではどうだろう?
恐らく気に留めず見過ごすことさえあるだろう。


しかし、この「三代目鈴木紀夫」というおむすびに相応しくない値札をみると、専門的に言うと【認知的不協和】が発生し、つまり「なんで鈴木紀夫なん??」とその理由を知りたくなるわけだ。


そして、値札の近くにはその名前の由来が説明され、生産者の手書きの手紙が添えられているのだそうだ。


このネーミングは人の関心を引くことを意図して付けられ、さらにその名の由来を知りたいという次の行動までしっかりデザインされているというわけだ。


そうそう、これが欲しかった!感性価値を創るマーケティング
実はこの事例は、前日のブログで紹介した小阪裕司氏の著書「そうそう、これが欲しかった!感性価値を創るマーケティング」の中で「感性消費行動のデザイン」という章で紹介されていた事例である。


このマーケティング手法で普段は人気のない調理味噌系のおむすびが、5倍の売り上げを生み出したそうだ。


この事例の「銀座十石」というおむすび屋さんのホームページを見ると、オンラインショップがあり、この南蛮味噌の紹介とこのお味噌のセットが販売されていた。


そこには、この味味噌の生産者であり、新潟の小さな町の小さなスーパーの経営者である鈴木紀夫さんのお店に車椅子の方が往復4時間かけてこの南蛮味噌を買いにこられたというエピソードも綴られていた。


そして私もその南蛮味噌をこのサイトで購入してみた。(笑)

2008年08月13日 23:46 | コメント (0)
2008年08月14日

成功するネーミング

前回はおむすびのネーミングのことを書き、それ以前にもサイト屋号のお話をしたが、ここのところ私はネーミングに関して関心をもっており、そんなところに、コンサルタントの神田昌典さんと株式会社感性リサーチの社長、黒川伊保子さんのインタビューオーディオセミナーのCDがあり「成功するネーミング」と言う内容だったので聴いてみた。


黒川伊保子さんのことはそれまで知らなかったが、昨日紹介した小阪裕司さんの著書の巻末のお礼の中にも、よくみれば「脳機能や語感の観点からいつもさまざまな示唆を頂いている」とご紹介されており、脳とことばの研究からネーミングの感性分析の世界においては第一人者の方のようだ。


同氏は奈良女子大の物理学科を卒業後、富士通で14年間、人工知能の研究開発に携わられ、脳機能の立場から語感の正体が「ことばの発音の身体感覚」であることを発見され、その後コンサルタント会社や民間研究機関での勤務を経られ、株式会社感性リサーチを設立。その後AI分析の手法を用い世界初の語感分析法を開発され、マーケティングの分野に新境地を開拓されたようだ。


セミナーCDの内容は非常に興味深かかった。


人は知らず知らず、語感の発音体感を感じ、言葉を発したり、聞いたり、見た瞬間に、その『発音体感という感覚をベースに、ある期待感の確信を生み出す』と言うことだ。


例えば、人の名前「スズキ シュンスケ」と「ゴウトクジ マナブ」の場合、その発音体感から、「スズキ シュンスケ」はサッカー部で活躍し、「ゴウトクジ マナブ」は歴史に詳しい感じがする。


その理由は、この発音体感が「スズキ シュンスケ」の場合は筋肉の緊張点が舌先と舌の付け根のところで交互に行ったり来たりして、口の中が疾風と共にジグザクにが走り抜ける感じで、「ゴウトクジ マナブ」は胸部に細かい振動を生み出す濁音と、頭蓋に細かい振動を生み出す鼻音が交互し、振動が重なり合いあい長い蓄積を感じさせるからだそうだ。


そしてこの発音体感は、深い確信を受け持つ小脳で受け取り、潜在意識と深い確信の領域に影響を与えるそうだ。
つまりはその言葉の持つ意味よりも、その語感からくるイメージを強く思ってしまい、潜在的なその影響の方が大きいようだ。


その語感から生み出される期待感の確信が、現実とずれていると人はがっかりしたりする。
また何故か浸透しないネーミングと言うのもそんなところに理由があるようだ。


例えば、JR東日本につけられた愛称の『E電』は乗り物の機敏性や利便性を表さず間延びした重い感じであり、東京ドームの正式施設名称の『ビッグエッグ』はエネルギーがあるのに押し込められたようなフラストレーションがたまるいいにくい言葉で誰も使わない。


この実に興味深い話をお聴きして、ネーミングもしかりであるが、言葉というものがいかに重要であるのかをあらためて思い知らされた。


『言霊』とよく言われるが、普段何気に使ったり口癖のように使う言葉にも、こうした小脳に働きかける発音体感と言うものがあり、人の潜在意識に働きかけるのならば、言葉が人生に大きく影響するその理由もよく理解できそうだ。


さて、では実際、『成功するネーミング』はどのようにつければいいのかと言うことについて黒川先生は、【名前は直感で決めるしかない】と言われる。


むしろある思いをもって生み出された製品やサービスには、名前は既に在るといえ、それに出会うようなものだと言われる。


極端な話、腑に落ちるネーミングが浮かばないくらいならその事業はおやめなさいと言われる。


また実際、いろいろ戦略的に考えて付けると言うよりは、リラックスして楽しんで付けたり、それに感動して付けられた名前の方が、後で分析すると良かったりするようだ。


このお話も私にはとても共感でき納得のいくものだった。

2008年08月14日 23:13 | コメント (0)
2008年08月18日

インフルエンサー・マーケティング

今年のお盆休みはあまり遠くへ出かけることもなく、自宅にいる時間も多かったのだが、休みの間に読んだマーケティング本として、大変参考となったのが、「その1人が30万人を動かす!」という書籍だ。


同書は副題が「影響力を味方に付けるインフルエンサー・マーケティング」というタイトルである。


その1人が30万人を動かす!
この本では、WEB2.0時代と言われる今、新しいマーケティング手法として最近注目を浴びている【インフルエンサー・マーケティング】について、その基本的な概念体系と実践的なノウハウについて実に判り易く解説されており、入門専用実用書としても優れた良書だと思う。


著者はインフルエンサー・マーケティング専門のコンサルティング会社ブルーカレント・ジャパン代表取締役の本田哲也さんという方だ。


『インフルエンサー』とは、「消費者に影響を与える存在」と意訳され、具体的にはブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、コミュニティ・サイトなどのCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)の中で、ほかの消費者に対して“カリスマ”的に大きな影響を与える人を指す。


こうしたインフルエンサーと言われるのは、カリスマ・ブロガーと言われるような影響力の大きい個人などもそのうちで、彼らが書くブログ記事やSNSが個人消費にも大きく影響を及ぼすことがある。


こうしたインフルエンサーを巻き込んだマーケティング事例としては自動車会社が新車の発表会に有力ブロガーを招いて、彼らが自主的にコメントするCGMの活用により販促を進める例もなどがある。


同書の中では、まずはインフルエンサーを、「専門家」、「マスメディア」、「個人」の、3種類に分類してその特徴を示し、その3つのインフルエンサーが相互にシナジー効果を発揮して効果をあげるというこのマーケティングのスタイルについて解説されている。

またこれらのインフルエンサーを味方に付けるには、中立的で社会性を持った『関心テーマ(issue)』というものが、最大の鍵を握るようだ。


ここで紹介されている1つの事例としては、P&G社の例がある。


この場合の『関心テーマ』は、「赤ちゃんの睡眠はその発育に大きな影響がある」ということで、この研究をされ「子どもの早起きをすすめる会」を主催されるある著名な小児科医を「専門家」のインフルエンサーとして巻き込み、次にその研究の発表の機会を提供して「マスコミ」を巻き込み、話題性を生み出し、それを今度は個人のカリスマ主婦ブロガーが記事で書くことで影響力を増加させたうえで、この関心事と結びつく「赤ちゃんの睡眠を考えたコットンのおむつ」を販促すると言うものだ。
【参考:ブルーカレント・ジャパン社ケーススタディ


こうしたインフルエンサー・マーケティングの手法は大変参考になると同時に、従来の発想とは全く違ったWEB2.0社会といわれる時代のマーケティング手法の概念に頭を切り替える必要があると感じさせられる。


【参考サイト】
インフルエンサー・マーケティングの導入イメージプラン(ブルーカレント・ジャパン株式会社webサイト)

2008年08月18日 23:49 | コメント (0)
2008年08月19日

100円パソコン

今、100円で購入できるノートパソコンがヨドバシカメラビックカメラコジマの量販店で販売されている。


そのパソコンは、台湾のASUSTeK(アスーステック)製のミニノートパソコン Eee PC 4G-Xである。


ASUS Eee PC 4G-XASUS Eee PC 4G-X
ASUSというメーカーは聞きなれない方もおられるかも知れないが、以前よりパソコンのマザーボードのメーカーとしては有名である。


100円といっても、これは条件付の限定価格で、通常価格は49,800円であり、今年の初めに5万円を切るノートパソコンとして発売され、話題となった機種である。
参考製品レビューページ


その条件というのは、データ通信カードのイーモバイルへの2年縛りの契約加入が条件である。


具体的には、にねんMAXという月額2900円から6880円上限のパケット課金という利用料の通信カードとのセット加入販売により、特別価格というわけだ。

つまり、同料金プランが、通常の料金プランよりは相応分割り増しとなるかわり、機器への初期投資金額を抑える可能という訳で、実際はパソコンとデータ通信機器のハードの金額分は月額利用料分で回収され、実質的には割賦購入しているようなものだ。
⇒ 関連ニュース記事


しかし、こうしたキャンペーン策は、マーケティング戦略を考えるうえで大変参考となる。


このパソコンは、スペック的にメインに利用するマシンとしては無理があるが、外出先でのインターネット通信パソコン端末としてセカンドマシンとして利用するような用途にはぴったりでしかも初期投資がいらないとなれば購買意欲がそそられる。


実際、当社も営業用に通信カードとモバイルPCの追加購入を先々に検討していたが、このキャンペーンを知ると、客先での簡易なプレゼンであればこうしたミニノートPCでも充分最低限度の要件はみたされる訳で、魅力的に感じ、今すぐ契約をしようかという動機を喚起させる。


この100円パソコンのキャンペーンは、パソコンの潜在購入需要の喚起と、契約の長期安定化の両方が得られる優れたセールスプロモーション策だと思う。


ところで、イーモバイルは第四の携帯キャリアとして、平成15年に会社設立され、昨年サービスを開始したが、最高7.2Mbpsの高速モバイル通信で、利用者数を急激に伸ばし好調のようだ。


それと今回記事を書く上で調べると、今回のキャンペーン策を展開する上記の大手家電量販3社も、イーモバイルには資本参入していることがわかった。


そういう意味では、こうしたキャンペーン策を展開するアライアンスの戦略事例としても注目できる。

2008年08月19日 23:44 | コメント (0)
2008年08月21日

顧客以外に目を向ける

今日は銀座ラフィナートで開催された日本圧力計温度計工業会の理事会及び暑気払いに参加するため東京出張であった。


大阪ではあまり馴染みがないが東京では「暑気払い」というような会合の習慣があるようだ。


さて、たまたま銀座で開催されるので、先日話題にした「銀座十石」というおむすびやさんを実際覗いてみようと再度WEBサイトで場所を確認した。


平成10年より開店されていたという本店は、現在駅前の区画整備のため閉店を余儀なくされ現在は松屋銀座という百貨店の地下食料品売り場に場所を替えて営業してるようだ。


丁度駅から目的地の会場までの通り道のようで、好都合だ。


改めて、同店のホームページを見させていただいたのだが、そこに「パブリシティ」というメディア紹介のページがあり、エッセイ文庫本の中で紹介されている文章が抜粋され載っている。


そこには夫婦の会話で、奥さんが「銀座に来たなら今話題のおにぎりやさんに行かなくちゃ」といいだすが、「おにぎりなんて女房がつくるもんだ」と思っている旦那さんには抵抗がある。


しかし奥さんはこういう。「お父さん、今は時代が違うのよ。亭主に食べさせるおにぎりは私がちゃんとつくります。これは【おみやげ】」


なるほどそう言われると、実際私も、自分の昼食代わりか、帰りの新幹線の中で頬張るかと思っていたのだが、「そうか妻にも夜食にみやげとして買っていこう。」と思ってしまう。


2・3年ほど前から「ブルーオーシャン戦略」.という企業戦略論が話題にっている。
この件については、また改めて話題としたいが、ブルーオーシャン戦略では今まで顧客になっていない買い手に目を向ける。


つまり非顧客を顧客にする戦略だ。


お土産を考える人には、いままで「おにぎり」はあまり選択肢になかったはずだ。


しかし、おにぎりを「おみやげ」という新しい戦略キャンパスに組み入れることで、あらたなブルーオーシャンが広がるわけだ。


最後に、同店のおむすびと先日購入した三代目鈴木紀夫という南蛮味噌がおいしかったことは付け加えておこう。

2008年08月21日 23:51 | コメント (0)
2008年08月23日

IKEA

世界一の規模を誇る北欧スウェーデンの超巨大家具小売店IKEA(イケア)が、木幡計器の所在と同じ、わがまち、大阪市大正区の鶴浜沖に8月1日にオープンした。


私も大正区で事業を営むものとして、このIKEA鶴浜がオープンした鶴浜沖というエリアの土地開発整備の経緯を知っているので、同店が誘致される以前から、このエリアがどんな活用がされるかについて関心があったので、IKAEという聞きなれないスウェーデン家具大型量販店が来るという噂は1年ほど前から聞いていた。


しかしその認識はつい先日まで「どうやら、自分で組み立てる形式のデザイン性の高いローコストの北欧家具の大型店らしい」という程度のものであったが、そんな私の認識を変える出来事があった。


というのは、自宅のポストにIKEAのカタログが投函されていたのである。


IKEA2009カタログイケア2009カタログ
私の現在の住まいは大阪市都島区である。恐らくIKEAのある大阪市大正区鶴浜からは直線距離で10kmから15km圏内辺りかと思うが、360ページもある1cm程度の分厚いカタログをここまで投函するとは驚きだ。もし仮に大阪市内の全ての世帯に投函しているとすれば128万世帯である。


そう思いながら、インターネットでリサーチしていると、ポートアイランド店のローカルリーダーシップ・マネージャー yokoさんのblogがあり、その記事を読むと、どうやらやはり関西一円に180万部もポスティングされているようだ。


そんなマーケティングに驚愕しながら書店に行くと、IKEAの企業戦略についての本が結構出ているものだ。

IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣
ひとまず日本経済新聞出版社から出ている「IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣」という本を読んでみる事にした。


IKEAは、35カ国に250店以上を展開する世界最大の家具店で、なんと売上高は173億ユーロ(約2兆8,169億円 2005年9月1日〜2006年8月31日)。


既に34年前の1974年に一度日本進出したものの12年後一度撤退しているので、日本再上陸のようだ。


2006年4月に千葉県舟橋、同年9月に横浜、そして本年4月に神戸ポートアイランドと続いて出展され、今後11月には5店舗目として埼玉県三郷にも出店される予定だ。


先のカタログは世界27カ国語で翻訳され、総数1億9千100万部も発刊されているらしい。


書籍『IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣』にはその成功の秘訣として、創業者イングヴァル・カンプラード氏の経営哲学がベースとなり、その特徴としては、


1.低価格
2.デザイン性の優れたスタイル
3.販売システム
4.流通システム
5.ブランド・イメージ戦略
6.創業者のカリスマ性


などが主な理由として挙げられていた。


そんな予備知識をベースに、実際に店舗に家族で行ってみた。
足を運び現場を見るとやはりそこには、書籍に語られているような、いろんな成功の秘訣のヒントが沢山あることに気付かされた。


明日はその点についてレポートしたい。


【参考サイト】
イケア・ジャパン http://www.ikea.com/jp/ja/
IKEAポートアイランドができてから http://ikea-blog.jp/
イケア Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/IKEA

2008年08月23日 23:57 | コメント (0)
2008年08月24日

IKEAレポート

昨日はIKEAの概要を記したが、今日はIKEA鶴浜を訪れてのレポートをしてみたい。


IKEA鶴浜IKEA鶴浜webサイト
近年、アメリカの小売業で、最も先端とされる売り場陳列は【ソリューション陳列】と言われるもののようだ。


そしてその【ソリューション陳列】の代表例がIKEAの店舗であるようだ。


では【ソリューション陳列】とはどんなものなのだろう。
それには4つのAの要素があるらしい。


1つめのAは、Atmosphere(雰囲気)
2つめのAは、Achievement(業績・成果)
3つめのAは、Assistance(助力・援助)
そして最後のAは、Assortment(取り合わせ・詰め合わせ)


の意味をなす。


つまり、その売り場陳列で、お客様の望むライフシーンの雰囲気をイメージさせ、さらにそれを手に入れた結果を具体的にイメージしてもらうための手助けと、品揃えによるパターンの提案をするということらしい。


その意味ではまず、お客様の望むライフシーンの雰囲気をイメージさせると言う点ではIKEAの売り場はまさにそのシーン、シーン毎のモデルパターンが用意されている。


キッチンコーナー生活空間提案
キッチンコーナーレイアウト例空間提案とトータル価格表示


そして上の写真にあるように「このモデルパターンで揃えた場合は、総額10万円以内で収まります。」といったように訴えかけている。


またさらに「このコーディネートされたデザインセンスの良い組み合わせで、僅かこれだけの安価です。」という感じである。


さらに店内案内STAFFの充実や、自分で組立てが不安な方や、時間がない方向けに組み立てサービスを行ったり、宅配サービスのアシスタンス(Assistance)が用意されているわけだ。


次にこの【ソリューション陳列】同様に、IKEAのもう一つの特筆すべき点は、物語が多く語られていることだ。


メッセージ
「子供は遊びの中から
たくさんのことを学びます。」


具体的には、椅子の製品耐久品質を耐久テストする内容が、ショウケースに入れられたテスト機により実際に実演されていたり、店舗内の随所や、そのホームページなどにその経営姿勢が物語として語られ(ストーリーテリングされ)ている。


こうした点に、実際のIKEAの強さを垣間見ることができた。


キッチンコーナー生活空間提案

長年にわたり安全に座って
いただけるように(耐久テスト)

もっと子供と
一緒に遊ぼう!

2008年08月24日 23:03 | コメント (0)
2008年08月30日

『弱みから強みに』

一昨日は、【同業他社リサーチ】を行うことにより、弊社が同業他社に比べ「製造業のホームページ制作の実績が多いこと」に気付いて以来、弊社はあえて『製造業のホームページが得意なホームページ屋です。』と『ハイ!と手を挙げる』=“自社の特長を意識して表現する”ことにして、製造業のお客様の安心感を獲得した事例をご紹介した。


この“自社の特長を意識して表現する”ということは、その会社の『尖がり』をつくり、顧客に対して、他社との違いを特長付けることに繋がるといえる。


ではこの「自社の特長をどう作り上げるか?」であるが、
それには、佐藤義典氏の戦略BASiCS理論で提唱される自社ならではの独自資源(Asset:アセット)が何であるかを考えることが重要だ。


今回はこの、『自社ならではの独自資源をどう捉えるか?』という点について、さらにもう少し考えてみたいと思う。


よく、大阪の中小企業の社長に「御社の強みは何ですか?」とご質問すると、大阪人特有の自虐的な謙遜もあるのだろうが


 「うちの強みなぁ。う〜ん。これといってあらへなぁ。・・・」と


言われてしまったりして困ったりする(苦笑)のだが、しかし、そう言わずに少しよく考えてみて頂きたい。


確かに自社の強みを探ろうとしても、資源の乏しい中小零細企業においては難しいものがある。


実際、私自身も家業に従事していた時代には、そうした自社の強みなどは少しも感じることがなく、むしろ同業他社と比較してみると気が滅入り、ただ閉塞感を感じていた一人であった。


しかし、こうしてホームページ制作に携わり、各社のホームページをお客様と共に検討し同社のWEB戦略を考える中で私の意識は次第に変わっていった。


人の「短所」が場合によっては「長所」であったり、またその逆であったりするように、「自分らしさ」「自社らしさ」の一面が、まさに自社ならではのアセット(Asset)独自資源であり、一見「弱み」と思える短所も、ある局面では、その会社の「強み」となることもあるのだということに気付いたからだ。


この気付きを私に教えてくれた【衝撃のホームページ】があった。


それは、2002年のことになるが、エミダスという全国の工場・製造業検索のポータルサイトを運営するNCネットワークが主催して初めて行われた第1回エミダスホームページ大賞という製造業のホームページのコンテストで3ちゃん賞という賞を受賞された(有)イワセさんのホームページだ。


有限会社イワセ有限会社イワセwebサイト
(有)イワセは、新潟県燕市で、通称“挽き物屋さん”と言われる小物部品の精密切削加工をされる企業だ。


2002年の受賞当時の同社のホームページからは、何度かリニューアルされているので現在のホームページは内容が変わっているが、エミダスホームページ大賞2002のページには当時のTOPがまだ小さく掲載されている。


エミダスホームページ大賞2002webサイト


この当時のホームページのタイトルは衝撃的であった!


「3ちゃん会社の挽きもの屋さんイワセ」である。


「3ちゃん会社」とはとうちゃん、かあちゃん、にいちゃんの3ちゃん、いわゆる家族だけで営む、家内製工業のことを、卑下していうような言葉である。


そして、さらに衝撃的なのはそのトップページだ。そこには、工場の前でにっこり笑って撮った家族の写真に、父ちゃん(社長)、兄ちゃん(専務)、母ちゃん(経理)、おとうと(工場長)、いもうと(検査員)と書かれていた。


「3ちゃん会社の挽きもの屋さんイワセ」のタイトルの下には、
「私たちは3ちゃん会社。家族だけで操業している会社(旋盤加工屋)です。
皆様から気に入っていただければ幸いです。どうぞご自由にご使用くださいませ。」

とあるではないか。


これには、私も脱帽だった。


当時のホームページの会社概要の『展望』には、


「当社は兄弟3人と父母の家族だけで行っている、三ちゃん企業(家内工業)であります。ですから、余計な人件費や管理費などの経費が一切必要ない為、ローコストにて供給が可能であります。


 又、24時間体制であるため、<短納期><高生産><高品質>な部品を最精鋭
のマシンにて加工しお届け致します。


 コスト削減にてお困りのユーザー様、是非一度私共の三ちゃん企業≪イワセ≫
を御試し下さい。口座等などの面倒な事は申しません、現在御使用の商社様、又は
協力メーカー様経由で結構であります。」


とあった。 恐れ入りました。


普通世間一般には“3ちゃん企業”とは、あまりいい意味では使われないが、こちらはそれを逆手にとって、表現一つで「小回りの良さと、ローコスト」をアピールする『強み』に見事に変えておられるたのだ。


 ページからは誠実さと、家族力を併せて頑張る姿が真摯に伝わり、思わず「ガンバレ!」と声援したくなるような良さがあった。


現在はその後、当時専務の兄ちゃんと、当時検査員のいもうとさんが結婚され、それぞれお嫁さんと旦那さんが加わり、もう恐らく3ちゃん会社では無くなっているのだろうが、今も家族で頑張ってどんどん業績を伸ばされているようだ。


このホームページが恐らく契機となり経営革新し、その後多くの取引先を獲得され、受賞の翌年新工場を設立、昨年も工場団地に新工場設立と破竹の勢いで、兄ちゃんが社長に代替わりされているようで何よりだ。


このイワセさんは、プラス発想とその表現で、正に『弱み』を『強み』に転じて成功された好例だろう。


(余談だが、このイワセさんのホームページとの衝撃の出会い以来、私は同社とは交流はないものの、同社のことをいつも自分のセミナー等でご紹介していて、そこでこの事例をもとに自社の特徴を表現して『ハイと手を挙げましょう!』とお話していた。


ある時、同社がホームページをリニュアールされた際に、驚いたことに今度はまさに『ハイ、イワセです。』と手を挙げておられたののだ!)

2008年08月30日 20:47 | コメント (0)
2008年09月01日

電車吊り広告とWEBのメディアミックス

今日、地下鉄谷町線に乗って客先へ移動中に、面白い吊り広告を見つけた。


一見雑誌の広告風である。が、よく見ると山崎製パンのコマーシャルだ。
内容は同社のロングセラーヒット商品の『ランチパック』の宣伝である。


ランチパック吊り広告ランチパック吊り広告
ランチパック吊り広告
女性バージョン
ランチパック吊り広告
男性バージョン


画像は携帯で撮った写真なので写りが悪くご容赦願いたいが、左右に女性用と男性用の広告が並ぶ。


大見出しは「男の朝食」、「女性のランチ」とあり、「朝食が仕事脳を活性化する!?」とか、「25歳でモテる秘訣」とかいかにも雑誌の見出し風である。


そして、肝心な点はこうした雑誌風の吊り広告で関心と興味を引き付け、続きはWEBでというように、携帯のスペシャルサイト http://yamazakipan.net/ や、PCサイトの「ランチパック」スペシャルサイト http://www.yamazakipan.co.jp/lunch-p/ へ行動を誘導している点だ。


「ランチパック」スペシャルサイトランチパックwebサイト
そしてそれぞれのサイトでは「ランチパック」に関する商品知識や新製品紹介、キャンペーン告知、ゲームなどのエンターテイメントコンテンツなどが展開され、携帯サイトにおいてはランチパックCLUBという会員登録を案内し、待受画像のダウンロードやゲーム配信と新製品情報の情報ニュース配信をしている。


対象ユーザーをWEBにうまく行動ナビゲートするメディアミックスだといえる。


ところで、話は変わるが、WEBサイトを見ていて知ったのだが、この山崎製パンの「ランチパック」というロングセラー商品は今年で25年だそうだ。


最初はピーナツ・青りんご・小倉・ヨーグルの4種類が発売されたそうだが、なんとそのバリエーションは1年で50種類も次々に発売され、2007年で3億4000万個、全部並べると地球1周分4万キロの生産量ということだ。


しかし、はたしてこんなにもたくさんのバリエーションを本当に作る必要があるのだろうか?


現代の消費は食に関しても、ロングセラーといわれる商品でさえ、こんな風に次から次へと目新しいものを出さないと売れないという神話が一般化している傾向にあるようだ。


実は、私はこの山崎製パンのパンの中身のクリームを製造される会社を知っている。
私が所属する市青連のメンバー企業さんで、友栄食品興業株式会社様といい、過去には実際に工場見学もさせて頂いたこともある。


同社にとっても、このように毎月新しい商品が発売されるという状況は、大変な対応力が要求される訳で、話をお聴きしただけでも、その対応に応じることの厳しさを感じずにはいられない。


またこうした多品種対応をすることによる生産ロスも大変な量で、食品原材料の廃棄量もどんどん大きくなり、同社の冨井社長もそうした立場のなかでジレンマを感じておられるようであった。


これについては、企業がどうこうというよりも、我々一般の消費者が、私たち消費者のレベルで食に関する問題意識をもっと感じるべきではないかと思う。


この吊り広告をみて、マーケティング手法としては大変興味深いが、その一方で、単にそうしたテクニックを駆使して売れればいいのかと疑問を感じてしまう。

2008年09月01日 23:38 | コメント (0)
2008年09月03日

『ブルーオーシャン』を求めて

一昨日、私の従兄が経営する企業にホームページ制作の依頼で伺った。


従兄の会社は香料メーカーで、香料は、食品、化粧品、日曜雑貨、医薬品、医薬部外品、工業薬品などの幅広い分野に利用されその種類も膨大である。


あらゆる製品に使用されている香料は、ひとつひとつの商品に含まれる量は微量ながら、上記の様々な分野の市場に存在する製品とほぼ同じ数だけ存在し、少量多品種の典型的な業界であるともいえる。


調査会社の株式会社デルタアイディ総合研究所の香料業界リサーチレポートによると、2006年度の香料市場規模は、世界規模で約2兆円、国内市場は1,950億8千万円と推計され、ここ数年横ばい傾向。


業界構造は、国内メーカー数は外資も含め約70社ほど、そのうち大手2社で市場シェアの約50%を占有し、上位5社で約75%、残りをそれ以外で分け合うという寡占業界のようだ。


香料は大別すると主に食品添加物である食品向け香料(フレーバー)と、その他食品以外の化粧品・芳香剤等の香粧品香料(フレグランス)に別れ、そのうち需要先は85%程度がフレーバー市場で、残りの15%程度がフレグランス市場であるということだ。


また、香料は需要先の仕様や要求に応じて個別に開発製造され、また需要先の新製品やリニューアル品の発売に際して依頼されるケースが大半なため守秘事項も多く、客先との信頼関係と意意思疎通が重要視されるようだ。


従兄の会社も提案型の企業であり、ナショナルブランドとして誰もが慣れ親しんでいる某大手メーカーの芳香剤は、実はベースが同社の提案開発によるものであり、その他の領域でも、これまで数多くの大ヒット商品の影で、同社は黒子のような立役者的存在を担ってきておられる。


守秘事項も多いところでこうした同社の強みや特徴をホームページでうまく表現するのは難しいところだが、そんな強みの背景にあるものはなんだろうかと思いながらお話をお聞きしていると、ヒアリングの中でその糸口となるような部分を感じた。


というのも寡占業界といえる香料業界において、従兄の会社は、創業者の祖父の時代から、もともと主にフレグランス市場の方に強かったようで、特に化粧品関係市場では、以前は大手の男性化粧品会社などが上得意のようであった。


しかし、よくある話ではあるが、伯父の時代に番頭格としておられた親族の方が独立された際に、化粧品市場は譲られることになり、その他の新たな業界を開拓することを余儀なくされたようだ。


そこでそうした逆境の中でも、当時フレグランス市場では、まだ他の香料メーカーが殆ど見向きもしていなかった業種に注目し、エアゾール業界や、まだ伸びる前のトイレタリー製品市場に目を向けて市場開拓をし続けたようである。


ブルーオーシャン戦略そして今では誰もが知るナショナルブランドをもつ大手企業の数社と、いずれも顧客の創業当時より、同社は共に製品開発の一翼を担ってきたということだ。


この話を聞くと、従来の市場や競争軸で戦うのではなく、競争のない新たな市場を開拓するという【ブルーオーシャン戦略】が近年注目されているが、同社は寡占市場のなかで、まさに『ブルーオーシャン』を求め、フロンティア精神で新たな市場開拓と提案を続けてこられたのだと思えた。


今後またさらに次の『ブルーオーシャン』を目指して、同社の市場開拓に貢献するようなホームページを作成させていただきたいと感じた。

2008年09月03日 23:51 | コメント (0)
2008年09月04日

【ブルーオーシャン戦略】−戦略キャンパス

昨日も取り上げたが、【ブルーオーシャン戦略】は2005年にビジネス書部門で、世界的にベストセラーになった企業戦略論であり、フランスのビジネススクールINSEADで教鞭をとる韓国人男性のW・チャン・キムとアメリカ人女性レネ・モボルニュが2004年10月のハーバード・ビジネス・レビューで立案発表したものである。


ブルーオーシャン戦略ブルーオーシャン戦略
具体的には、『血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場〈レッド・オーシャン(赤い海)〉を抜け出し、競争自体を無意味なものにする未開拓の市場〈ブルー・オーシャン(青い海)〉を創造すること』が提唱されている。


マイケル・ポーターに代表されるような従来の企業戦略論が、競争を主軸においた「競争戦略論」であったのに対し、その競争を無意味にし、従来理論を根底から覆すような発想であることが、注目を浴びた理由であり、それは「未知の市場を創造する」戦略である。


では、『未知の市場=ブルーオーシャン』を創造するための鍵はなんであろうか?


それについて、キムとモボルニュは、【バリュー・イノベーション】が戦略の土台だという。


【バリュー・イノベーション】とは、


『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネス・モデルを構築することによって、既存市場の境界を再定義すること』


と定義付け、端的に言うと


【差別化と低コスト化の同時実現】を目指すものだとされている。


「差別化」と「低コスト化」という一見相反するような要素をどのように実現するのか?と思われるのではないかと思う。


私もそうであったが、この「ブルーオーシャン戦略」には、それを実現するための戦略立案方法を事例で紹介すると共に、幾つかの視点と、戦略策定のためのツールが紹介されている。


その『バリューイノベーションの実現』のための手順として、レッドオーシャンからブルーオーシャンへ至る戦略策定ツールとして書籍の中で紹介されているものに、
【戦略キャンパス】と【6つのパス】、【4つのアクション】というものがある。


ブルーオーシャン戦略においても、まずは他の戦略同様現状分析を行うのだが、この時、最初に利用されるのが【戦略キャンパス】である。


【戦略キャンパス】はその業界が対象とする市場空間の特徴を認識するための道具で、下図のようなものである。


戦略キャンパス


横軸には業界各社が力を入れる要因を入れ、縦軸には各要因について買い手が得る価値の度合いを示す数値軸を設ける。


次に業界標準や競争相手、自社について各要素の度合いをプロットしていく、そこで出来る折れ線グラフの曲線を【価値曲線】と呼び、これを見ることでまずは、業界全体、競合相手、そして自社の戦略プロフィールを理解する。


そして『ブルーオーシャン戦略』では、この【戦略キャンパス】の【価値曲線】を、競争相手をベンチマークして模倣するのではなく、新市場を目指すために、他社とは異なる価値曲線を描き加えるということをする。


では、新市場を目指すために進む道について次に考えると、その道はは2つ考えられる。


1つは、『あらゆる点において新市場を創造する道』と


もう1つは、『市場を定義する価値を問い直し、市場の境界を引き直す道』である。


このうちブルーオーシャン戦略では【市場の境界を引き直す】という点に注目する。


この【市場の境界を引き直す】ための、次のアプローチが【顧客以外に目を向ける】という点と【6つのパス】である。


次回はこの点について、まとめてみたい。

2008年09月04日 23:52 | コメント (0)
2008年09月05日

【ブルーオーシャン戦略】−非顧客と6つのパス

昨日は、ブルーオーシャン戦略では【市場の境界を引き直す】という点に注目しており、そのためのアプローチとして紹介されているのが【顧客以外に目を向ける】という点と【6つのパス】であると述べた。


この【顧客以外に目を向ける】ということは、“いまだに顧客になっていない買い手に目を向ける”と言うことで、この「非顧客」は以下の3つに大別されている。


1.「消極的買い手」:購入意欲は低く、出来れば代替品で済ませようとする。


2.「利用しないと決めた買い手」:現在の業界(製品)に不満を持つ。利用しないことを心に決めている。


3.「市場から距離を置く買い手」:業界の製品も代替品も利用しない。既存市場から遠い存在。


そしてこれらに対してのアプローチはこうだ。


1.「消極的買い手」には、代替品に逃げる原因を取り除く。


2.「利用しないと決めた買い手」には、利用しないと決めた原因を取り除く。


3.「市場から距離を置く買い手」には、潜在的需要に着目する。


そして、3者全体が持つ共通点がないかを見つける。


次に【6つのパス】についてであるが、その視点は次の6つだ。


(1)代替産業に学ぶ。


(2)業界内の他の戦略グループに学ぶ。


(3)買い手グループに目を向ける。


(4)補完材や補完サービスを見渡す。


(5)機能志向と感性志向を切り替える。


(6)将来を見渡す。


ここでは全ては説明しないが、このうち(1)代替産業に学ぶ。(3)買い手グループに目を向ける。という点については、我々もWebサイトを考える際によく利用するので、少し触れてみたい。


まず【代替産業に学ぶ】というのは、例えば、ハンバーガーショップの大手「マクドナルド」の競合といえば、「ロッテリア」とか、「モスバーガー」とか、などと通常は思われるだろう。


しかし、“手軽に早く食事をする”という【目的】から考えると、「吉野家」や「コンビニ」、「立ち食いそば」なども競合となる。


また、「映画館」、「喫茶店」、「本屋」これらは一見関係がないが実は『代替産業』で、“2時間、時間をつぶす必要がある人”にとってはそれらが選択肢になる。


ブルーオーシャン戦略では、こうしたくくりで『代替産業』を見つけ出し、その産業に学んで、市場の境界を引き直す。


以前、【同業他社リサーチ】をお薦めしたが、顧客が利用するであろう重要なキーワードを使って、このリサーチをしていると、これまでは同業他社と思っていなかったところが、実際に競合になっていることに気付くことが多い。


また、インターネットが従来の流通経路を大きく変えた要素もあり、メーカーがネットで小売をしたり、従来の川上産業と川下産業が逆流していたり、アフィリエイトやドロップシッピングの仕組みが見られるなど、今やネット上の競合は、従来の同業他社という枠組みをはずして競合を考えなくてはいけない。


そこで弊社では同業他社リサーチに加えて、これまでは、「異業種同業態サイトリサーチ」や「ユーザーを同じくする他社のリサーチ」もお薦めしてきた。


この【6つのパス】でいう『代替産業』という枠組みは、これに近い考えである。


そこで【代替産業のネットリサーチ】をしてみることも大変参考となり、戦略立案上はとても重要なことだといえるだろう。


次回は、【買い手グループに目を向ける】について触れてみたい。

2008年09月05日 23:28 | コメント (0)
2008年09月06日

【ブルーオーシャン戦略】−買い手グループに目を向ける

ブルーオーシャン戦略の【6つのパス】の3つ目の、【買い手グループに目を向ける】に目を向けるという点は、我々のホームページ作りにも重要な要素となっているので今日はその点についてお話したい。


この【買い手グループ】とは何かというと、『購入の意思を決定する様々な当事者』のことを指す。


具体的には、例えばメーカーの場合を考えてみてもらえれば判り易い。


メーカーには2種類の顧客がいる。


製品を小売する店舗と、最終的に購入する買い手(利用者=ユーザー)がそれである。


場合によっては、メーカーと小売店の間に問屋が入ったり、ギフトなどがそうであるが、買い手と利用者が違う場合がある。


また、さらに視野を広げると買い手の購入に影響を及ぼす人なども考えられ、どの買い手グループに目を向けるべきか?という点について、ブルーオーシャン戦略では、それが従来の常識と異なるほど、市場の境界を引き直せる可能性が高まるとしている。


この、【買い手グループに目を向ける】という事例として、判りやすいものとしてお話したいのは、専門学校のホームページの事例である。


弊社では以前に全国専門学校情報教育協会様のご依頼で、全国の加盟専門学校の142校のホームページ診断を手掛けさせていただいた経験がある。


その際、診断にあたって各専門学校のホームページを横断的にリサーチさせて頂き、その際にこの【買い手グループ=入学の意思を決定する様々な当事者】の存在についての重要性を感じさせていただいた。


専門学校にとっては、この少子化時代に入学志願者の獲得は非常に重要な課題であり、各校ともこの時期にはオープンキャンパスといって見学を受け付けたり、広報手段としてホームページには力を入れているところも多い。


しかし、この場合の買い手はつまり『買い手=入学志願者』であるが、この入学志願者も、複数の分類に分かれ、かつ、入学志願を決定づける影響を与える存在も多岐にわたる。


というのも、専門学校の場合は、学校にもよるが、その入学対象者は、「高校新卒の学生」、「社会人」、また最近はダブルスクールといって「大学に通いながら専門学校にも通うという人」もあるらしい。


となると、これら対象者の経験や視点はそれぞれ違って当然で、学校の内容を見る部分も異なり、WEBサイトもそれぞれの対象者に応じた情報の整理が求められる。


また入学志願を決定づける影響を与える存在として考えられるのは、ご父兄であったり、新卒の場合は高校の進路指導の先生や、学校の卒業生(OB・OG)などもその対象となる。


ホームページの診断をさせて頂いた2003年当時は、まだこうした買い手を細かく意識してWEBサイトが構築されている例はまだまだ少なかった。


ホスピタリティツーリズム専門学校ホスピタリティツーリズム専門学校
当時の我々の診断でもっとも評価点が高かったのは学校法人トラベルジャーナル学院トラベルジャーナル旅行専門学校(現:ホスピタリティツーリズム専門学校)であった。


同校は当時よりこのブルーオーシャン戦略で言う【買い手グループに目を向ける】ということをしっかり認識しておられた。


当時より、新卒者向け、社会人向けなどのメニューはもちろん、父兄向けたコンテンツや、卒業生の掲示板などを用意されていた。


当時、加盟校のホームページ診断を終えた後、私は協会の研修で講師を担当させて頂き、そこでも各関連対象者向け毎のコンテンツの重要性をお伝えしたしたのだが、今回久々に同校のホームページを拝見すると、こうした内容は、現在はさらに、父兄向けサイト、留学生向けサイト、企業向けサイト、OBOGサイトなどを独立させて充実されたり、高校生向けのモニターサイトを運営されるなど進化しておられる。



ホスピタリティツーリズム専門学校大阪校
大阪校サイト卒業生向けサイト高校生モニターサイト


【買い手グループに目を向ける】という点を考えるうえでは、大変判りやすい例だと思うので、参考にしていただければと思う。


【参考サイト】
ホスピタリティツーリズム専門学校 http://www.trajal.jp/
ホスピタリティツーリズム専門学校大阪校 http://www.trajal.info/
保護者向けページ(東京校) http://www.trajal.jp/subject/hogosya.html
社会人・大学生向けページ(東京校) http://www.trajal.jp/subject/daigaku.html
卒業生サイト(東京校) http://trajal.jp/obog/index.php
在校生ブログサイト(東京校)http://navimaga.blog102.fc2.com/
外国人留学生向けサイト(大阪校) http://www.trajalinternational.info/
卒業生交流サイト obog.net(大阪校) http://www.hospitalityobog.net/
企業向けサイト(大阪校) http://www.trajalfreshpower.info/
ホスピタリティネット(大阪校) http://hospitalitynet.jp/
高校生業界モニター研究サイト(大阪校) http://www.hospitalitytrappy.net/

2008年09月06日 16:28 | コメント (0)
2008年09月07日

【ブルーオーシャン戦略】−4つのアクションとイエローテイルの事例

『バリューイノベーション』=「差別化」と「低コスト化」の実現をするためのツールとしてブルーオーシャン戦略で紹介されているツールが【4つのアクション】である。


【4つのアクション】は以下の4つ。


(1)Eliminate(取り除く)・・・すっかり取り除く要素は何か?


(2)Reduce(減らす)・・・大胆に減らす要素は何か?


(3)Raise(増やす)・・・大胆に増やす要素は何か?


(4)Create(付け加える)・・・新たに付け加える要素は何か?


このうち(1)のEliminate(取り除く)と(2)のReduce(減らす)が【低コスト化】を図るための手法で、(3)のRaise(増やす)と(4)Create(付け加える)が【差別化】を図るための手法である。


4つのアクション

この【4つのアクション】を、具体的に実行に移すために使われるツールが【アクション・マトリクス】となる。


「イエローテイル」ブランドサイト「イエローテイル」ブランドサイト
『ブルーオーシャン戦略』の書籍の中では、この【4つのアクション】と【アクション・マトリックス】について、アメリカ市場で発売から爆発的なヒットとなり販売数量NO.1を実現した『イエローテイル』という輸入ワインブランドを具体的な事例に上げ、説明している。


この『イエローテイル』日本国内でもサッポロビールが2004年9月から発売しているので目にされたり、既に飲まれた方もあるかもしれない。
【参考記事】WANDS STREET No.86 Jul./Aug. 2004 記事
「全米ナンバーワン・ワイン話題のイエローテイル9月ついに日本市場に上陸」


この『イエローテイル』の【アクション・マトリックス】は次の様になる。
イエローテイルのアクション・マトリックス


さらに、この【アクション・マトリックス】の『付け加える』に列挙した要素を、先日説明した【戦略キャンパス】の横軸の要素に付け加え、また『増やす』要素を増やし、一方で『取り除く』、『減らす』の要素を、それぞれ大胆に取り除き・減らすことで【価値曲線】にメリハリをつけることとなり、“市場の境界を引き直し”、「差別化」と「低コスト化」を同時実現させる【バリューイノベーション】を可能としている。


イエローテイルの戦略キャンパス


こうのように4つのアクションから描かれた戦略キャンパスの価値曲線は、


(1)特定の要素に力点が集中している。(メリハリがある。)
   ⇒イエローテイルの場合は「選びやすさ」 シャルドネ・シラーズだけに品種を限定)


(2)独自性がある。
   ⇒イエローテイルの場合は「飲みやすさ」、「選びやすさ」、「楽しさや意外性」

(3)有無を言わさぬメッセージ(訴求力のあるキャッチフレーズ)
   ⇒イエローテイルの場合はカンガルーのラベル、「オーストラリアの広大な台地の恵み」毎日飲んでも飽きない、楽しくシンプルなワイン」


という3つの特徴を持っており、これが優れた「ブルーオーシャン戦略」の特徴となるようだ。


そして『イエローテイル』が目を向けた【代替産業】と【非顧客層】は、『ビール・カクテル飲料』であり、『ワインは敷居が高く難しいと思っている人たち』であった。

2008年09月07日 07:15 | コメント (0)
2008年09月08日

お客様事例紹介 (株)ウエロクカトウ様

昨日まで、数回にわたって『ブルーオーシャン戦略』についてまとめてみたが、そこでは【バリュー・イノベーション】という価値の再定義がテーマであった。


『ブルーオーシャン戦略』のアプローチとは違うが、弊社の制作事例の中でも、過去にこうした価値の再定義について考えて、リニューアル構築したサイトがあるので事例としてご紹介してみたい。


そんな事例としてご紹介する株式会社ウエロクカトウさまは、その社名にもあるとおり、大阪の中央区上本町6丁目(通称で上六)でカップ・トロフィー・バッジ・旗・楯・額などを扱われるお会社だ。


株式会社ウエロクカトウ webサイト株式会社ウエロクカトウwebサイト
2004年に、ホームページの全面リニューアルをさせて頂いたのだが、制作前のお打合せで、同社の山本社長がこんなお話をされた。


昔、あるテレビ局がバラエティー番組で、街なかに優勝カップやトロフィーや楯などを置いて、誰かが持っていくか?という企画をしていたそうだ。


その企画の意図は、それらの品物が“必要ないものの代表”として取り上げられ、誰も持っていかないだろうという内容だったようだ。


これには社長も、
「ほんなら、うちで扱うてるもんはみんな、不要品か?」
と随分と気分を悪くされたそうだ。


しかし、数分すると全て誰かが持って行く結末でホッとしたそうだが、いわれてみれば、確かにこうした品は普段はあまり意識することも無く、この番組のように乱暴な言い方をすると、普段は必要の無い物のように思われるかもしれない。


しかし、これらの品は皆、何かの記念に創られたり贈られたりと、贈る人や、受ける人の“思いが込められた品”のはずで当事者達にとっては貴重な意味深いものだ。


そしてまた、その利用シーンによっては、非常に効果的な「思い」を伝えたり、「意識向上」のためのツールとなる。


同社の商品はカタログを拝見しても、かなりの数に圧倒されそうな商品群であったが、まずは、それらの商品について、そうした具体的な、“その商品が活きる効果的な活用事例のシーン”をホームページで紹介することを心掛けた。


そしてもう1つのポイントは、ターゲットを特に“企業様”向けに絞込んでみた。


より具体的なターゲットイメージとしては、若いベンチャー創業者や歴史有る会社の2代目・3代目で第2創業を志す人、また組織を活性化させようとする前向きな経営者の方である。


よく考えて見れば、これらの品物は、結構企業でも利用されている。


社章・社旗をはじめ、永年勤続表彰や、社内コンテストの賞、その他販促ツール、周年記念品など・・・


そうして、山本社長さまとご一緒にホームページを考えながら、商品定義をあらためて見直して到達したのが、


「元気企業を応援する、やる気を育むモチベーション(意識付け)ツールの提供」


という観点だ。


呼びかけは、「元気になりたい企業様へ!」


同社は、店舗小売もされているが、業態的にはメーカー・卸商社的な要素が大きく、それ以前までは一般の法人企業を直接のお取引先としてお取引されることは少ない様であったが、ホームページをリニューアルさせて頂いて、実際に、対象と定めた企業様より直接に引き合い注文が増え、これまで沢山の社章をはじめとする商品を納入されてきた。


そして、こうした新たなお取引先は、また数年すれば周年記念であるなど、同社の扱い商品を利用される潜在需要を持っておられるケースが殆どだ。


このように商品と顧客の再定義による新たな市場の創出の道が、私はどの企業にもあるのではないかと思う。

2008年09月08日 23:12 | コメント (0)
2008年09月11日

情報の川下から川上へ(その1)

WEBサイトをうまく利用することで、顧客との関係性を変えることも可能である。


先日ご紹介した【ブルーオーシャン戦略】-「買い手グループに目を向ける」という記事のなかで、メーカーは通常2つの顧客を持つのが一般的であると述べた。


1つは自社の直接の販売先であり、自社製品を小売してくれるところ(小売店や専門商社など)である。
そして、もう1つはその先の顧客となる製品を最終的に購入する買い手である。


また、さらにこれが2つ以上の場合もあり、買い手とは異なる利用者(エンドユーザー)がまだその先にいる場合や、あるいは最終の買い手との間の流通に、まだ複数社の中間業者が入っている場合などもある。


こうした複数の買い手グループの中で、ここで注目したいのは情報の流れである。


具体的には、情報の流れの、より上流の川上に立つことが決め手であり、それにより情報優位となることで、顧客との関係性をより有用なものに出来る可能性が高まるということを今日はお伝えしたい。


昨日ご紹介した新生紙化工業株式会社様もそうであったが、同社は包装資材の中間加工であるドライラミネート加工業であるが、ホームページを通じて、最終購入者であるところから、間を飛び越えて問い合わせが入ることが多かった。


こうした問い合わせからは、エンドユーザーのニーズをつかむ事が出来るようになり、同社もそうしたお声に真摯に向かい合われ対応してこられたことで、新たな展望が開けてきたように思われる。


またさらに、弊社自身の経験からもこんな事例がある。


同じ客先の中でも異なる部門が存在し、買い手グループを分けて捉えるとその関係性は変わってくる。


より具体的に説明すると、私ども(株)木幡計器製作所は、主な需要先である装置メーカーを客先として、販社を通さず圧力計を直販することが多いのだが、こうした直販の場合においても、通常はそうした客先社内で、圧力計の直接の買い手である部門(我々との直接の窓口)は、購買窓口である資材・購買部である場合が一般的だ。


資材・購買部門というのは、良いものをとにかく安く、無駄なく、そして安定的に買い入れることがその主たる使命であるので、例えば我々部品メーカーが、そうした先に新規に販路拡大を試みようとしても、当然のことながら、そこでは常にまず第一に価格交渉が付き物となり新規購入品の採用にあたっての障壁は高いものである。


しかし、これが同じ客先でも購買部門の川上部門に位置する技術設計部門の技術者の方を通じてのコンタクトとなると、技術設計部門からお問い合わせが入り、仮にその対応で信頼を得て、先に技術的な機種の打ち合わせをして、幸いにもそこの装置図面に弊社の計測器が採用されて行くようなこととなると流れはとてもスムーズである。


実際に弊社の場合、1997年にホームページを開設以降は、それまでは接触を持つケースが比較的少ない技術設計部門の担当技術者の方からも、ホームページを通じてのお問い合わせ引き合いが多くなり、ホームページが新規顧客の拡大に大きく貢献することになった。


このことは、我々にっては非常に重要なことである。


水は高いところから低いところに流れるのが自然でスムーズなものである。
これは情報についても同じだといえる。


このように「情報のソース(源)に近い、情報の川上に立つ」ことは買い手との関係性を優位に導くことを可能にするものといえるだろう。

2008年09月11日 21:36 | コメント (0)
2008年09月12日

情報の川下から川上へ(その2)

昨日に引き続き、「情報のソース(源)に近い、情報の川上に立つ」ことで買い手との関係性を優位に導いた事例をご紹介しよう。


以前、弊社でホームページを作成させていただいた先に、あるオフィス家具の販売と、事務所のオフィスレイアウトや内装工事を手掛けられる企業があった。


この事務所レイアウトや内装工事となると、その主な需要は、オフィスの移転に伴うことが多く、お仕事の依頼も賃貸事務所を仲介される不動産業を介しての依頼が多いようであった。


つまりこの場合は、事務所レイアウト内装工事業は、不動産賃貸業から仕事の依頼を請けるので、不動産業に対しては川下の産業といえる。


さらに、通常事務所の移転といえば、移転を考える買い手である事務所のユーザーは、転出の意向を家主に移転の数ヶ月前に告知して転居の準備をしなければならない。


この転居の告知は半年前というケースも多く、既に半年前から事務所の転居は決まっていても、事務所レイアウト内装工事業者が、新しい事務所を仲介した不動産業から情報を得て、仕事の依頼を請けるのは、移転の少し前であるケースが殆どである。


つまり、確実に半年も前から潜在需要を抱えた買い手がいるにも関わらず、情報の川下にいる事務所レイアウト内装工事業者にとってはそれを知るのは移転の直前で、場合によっては提案の時間的余裕が少ないケースも考えられる。


そこで、弊社がご提案したのが、情報提供型サイトの運営で情報の上流に立つことである。


全国貸事務所・オフィス移転ナビ全国貸事務所・オフィス移転ナビwebサイト
その情報提供型サイトのコンテンツは2つである。


1つは、全国の賃貸事務所物件の仲介を専門に手掛ける不動産業者のデータベース型リンク集と、もう1つはオフィスの移転に関する手引きマニュアルである。


このような“ユーザーにとって便利な機能や情報を有するコンテンツ”を私は【キラーコンテンツ】と定義付けている。


こうした情報提供型サイトを運営することで、今までは、川上にいた不動産業に対して、川下で仕事の依頼を請けていただけであったが、今度は不動産業サイトのリンク掲載の場を提供し、情報を上流から流す立場に逆転した訳だ。

2008年09月12日 21:55 | コメント (0)
2008年09月15日

贈答用高級インスタントお味噌汁

自宅の台所で、最中のような和菓子を見つけ、「これ、食べていい?」と妻に聞くと


「それ、最中と違うよ。味噌汁やよ」と言われて驚いた。


「味噌汁って、冗談やろ。(笑)」(私)


「嘘とちゃうよ」(妻)


「そんな訳ないわ。。。えぇっ!!ほんまに味噌汁や!!!」(私)


この和菓子の最中の様なものの正体はなんと、本当にインスタント味噌汁だったのだ。


これは、石川県金沢市にあるお麩の専門店加賀麩不室屋というお店の『ふやき御汁宝の麩』という商品である。


ふやきの最中の中身は乾燥した野菜や花麩やおぼろ昆布などで、お椀に粉末のおすまし御だし汁やお味噌と、親指で麩焼きの皮の中央に穴を開けてお湯を注ぐと、中から細工麩や野菜が顔を出して美味しいおすましや、お味噌汁が出来上がるという訳だ。


宝の麩宝の麩
湯を注いだら穴のあいた面が
裏返ってしまった
ふやきの最中の中から
具が顔を出してくる


同封されているしおりにはこの商品の誕生秘話が記されている。


内容は次の通りだ。


宝の麩のちらし


『宝の麩 誕生のおはなし

それは十数年前の話。当家五代目当主は、子供達の見聞を広めさせようと彼らを海外へ留学させました。しかし海外で心配なのは食のこと。子供たちの健康を考えた母は、日本の味を手軽に食べられるように、また栄養にも配慮して、乾燥させた野菜や麩などの沢山の具をふやきの最中につめ、金沢風の味にしたおすましの粉末のだしを沿えて母心で送ったものが「宝の麩」の元となりました。
それを、子供達が知人にお分けしているうちに当地に住む日本人の間で「手軽でおいしい。ふやきに穴を開けてお湯を注ぐと、中から次々と具が出てくる様子が楽しい。」と話題になり、贈り物として依頼されたことをきっかけに、商品として発売することになりました。
名前は、ふやきの中に色とりどりの具が入っている様子を宝箱に見立てて、「宝の麩」としました。』


と、しっかり「ストーリーテリング(物語が語られて)」されている。


ひとつ200円程度で高いものは473円といずれもインスタントのお味噌汁としては非常に高価な感があるが、贈答用としては手頃感もあり、ちょっと変わった面白さで贈答品としての人気は高そうだ。


これぞまさに『ブルーオーシャン的商品』ではないか!?


【加賀麩不室屋オンラインショップ】http://eshop.fumuroya.co.jp/

2008年09月15日 23:59 | コメント (1)
2008年09月18日

蔓延するブログパーツ

以前、インフルエンサーマーケティングのことを話題としたが、昨今はブログがマーケティング手法として非常に重要視されている。


そして、多くのブロガー達に話題を提供するために活用されているのがブログに貼り付けて使ってもらう目的のブログパーツと言われるものだ。


大手企業は最近こぞってこうしたブログパーツを企業のプロモーションツールとして開発利用し提供を始めている。


ブログパーツとはなにか?


それは、ブログ上に設置する小さなアプリケーションである。


どんなものか一例を紹介すると、下記に貼り付けたのが、「ユニクロ」が配布している
ユニクロック(UNIQLOCK)というものだ。



いかがだろう?じっと見入ってしまわれたかも知れない。


このブログパーツはユニクロが昨年2007年6月より無料配布し、現在既に世界87カ国の39022名ブロガーが、私がしたように自身のブログに5万545個を設置しているという。


従来のテレビCMや新聞などのメディア広告や、またwebのバナー広告であってもこれらの広告はいずれも一定期間で終わってしまうのが一般で継続性がない。


しかしこのブログパーツはコンテンツの面白さを気に入ったブロガーが自発的に自分のブログに組み込み、今、実際、私自身がしているように話題とする。


すると、それを見た別のブロガーが興味を持ち、自分のブログにも組み込む。


こうしたプロセスで、優れたブログパーツはネット上で話題となり、クチコミで連鎖的にかつ自然増殖的に蔓延伝播する。


ユニクロからみれば、多くのブロガー達が、自発的に同社の広告宣伝を担ってくれ、大々的なプロモーション費用を投下することも無く、低コストでインターネット上に自前の広告チャンネルを構築できるわけだ。


またもうひとつブログパーツの大きな特徴は、クチコミを「可視化=見える化」する役割も備えている。


これらのブログパーツが伝播するプロセスは、ブロガーが自主的に設置するため自然伝播的に無秩序で、一見全くコントロールできないように思えるが、実はその動きは全て一元で監視できる特徴を持っている。


その具体例は次のUNIQLOCKページの左のMENUから【WORLD.UNIQLOCK】というページを見て欲しい。



この【WORLD.UNIQLOCK】というページでは、先程のユニクロのブログパーツ「UNIQLOCK」が世界中にどれだけ普及しているかを客観的に把握できる。


一般には、クチコミはそれが伝播するプロセスを可視化することは難しいが、こうしたブログパーツを用いれば、そのざわつきがリアルタイムに手に取ることができ、さらにこれによってブロガー達自身も自分が参加している実感を得られるというわけだ。


つまりこれらのブログパーツはクチコミの促進機能のみならず、その広がりの測定、トラフィックの計算、プレイ回数の測定などのあらゆるデータの把握により、クチコミの可視化を可能にすることを意味している。


これぞ、WEB2.0時代のマーケティングツールと言うべきものだろう。


従来は企業が広告を展開する場合はテレビや新聞・雑誌などの既存のメディアに依存していた面も大きい。


しかしこのように企業が消費者に向かって直接情報発信していくメディアを自社で自前に構築するという選択肢が現実のものとなっている時代には、中小企業にとっても、今後さらにWEBの活用によりチャンスが訪れる可能性が高まっているのではと思う。

2008年09月18日 23:15 | コメント (0)
2010年08月30日

先週、日刊工業新聞社より取材をうけました。

その取材の目的対象は、弊社が6月28日付で、大阪府より承認を受けた、
中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画承認新事業である
『漫画等を利用した物語コンテンツの制作』関しての取材です。
 ⇒ 大阪府/経営革新計画承認企業一覧 平成22年6月(ワードファイル)
   

取材を受けて改めて感じたのですが、この新事業の関しては、最近
リニューアルした弊社ホームページでも既に概要紹介はさせていただいて
いるものの、幾分説明が不十分であるので、(今後専用サイトの立ち上げ
公開も予定はしているのですが。。。)

ということで、それまでしばらくはこのブログで
その内容の補足説明を数回に分けてさせていただくこととします。


本事業の特色は、物語(ストーリー)の持つ人の認知行動に与える効用に
着目し、既存のWEBコンテンツ制作の技術を活かしながら、こうした物語
マーケティング技法を取り入れ、さらに、ハリウッド映画にみられるような
共感を生みやすいシナリオ技法や、最新の認知心理学や機能脳科学の
知識も活用し専門性を高めています。

また、一方で産学連携により多くの若手クリエイターの人材登用により
多様性を持つ漫画等を利用した物語コンテンツを比較的安価に制作出来ると
いうのが本サービスの特徴です。


このブログでは、まずは、近年はマーケティング分野や経営組織論の分野でも
注目されている物語の持つ、「伝わり易い」、「記憶に残り易い」などといった
特徴・効用について、具体的にお話していくことにしたいと思うのですが。。。

ただその前に今回第1回目は、プロローグとして、物語の持つ効用が一体いつ頃から
ビジネス分野で注目されてきているのかについてお話したいと思います。

物語の持つ「伝わり易い」、「記憶に残り易い」などといった特徴・効用に
ついては、日本国内では、かの著名な経営コンサルタントである神田昌典氏
なども、数年前より提唱され、神田氏自身もご自身の著書や、ビジネス書の
中でそうしたことによく言及されており、同氏の高い影響力が感じられます。
(ただ神田先生が、物語の効用について師として学ばれたのは、いずれ後述
しますが、日本で唯一のストーリーアナリストといわれる岡田勲先生
のようです。)


また、一方で日本国内でストーリーテリングの効用が近年注目され
始めたのは、いつも各ビジネス理論ブームの火付け役として貢献される
「ハーバードビジネスレビュー」
に2004年発表されたある論文の影響も大きいと思います。


それは、世界銀行の元ブロジェクト・ディレクターで、米国ビジネス分野で
ストーリーテリングの効用を説いた第一人者ともいわれるステファン
(スティーブン)・デニング博士が、経営組織論の観点から「ハーバード
ビジネスレビュー」に論文寄稿した『ストーリーテリング

2010年08月30日 08:50
2010年09月06日

日刊工業新聞に弊社サービスが掲載されました。

先日取材を頂いた弊社の「物語マーケティング〜漫画等を利用した物語コンテンツ制作サービス」が本日、平成22年9月6日(月)朝刊の26面に掲載紹介を頂きました。 ⇒ 紹介記事(PDF)


併せて、日刊工業新聞のwebサイトの「彩々新製品」というコーナーにも取り上げていただきました。
http://www.nikkan.co.jp/saisai/100906.html


さて、前回のブログ記事では、物語の重要性がビジネスの分野で何時頃から注目され始めたのかについてお話をしました。「物語の特徴」をお話しする前に、また前置きが長くなりますが、今回も前回の記事を補足・整理しておきたいと思います。


物語(ストーリー)は、別の表現では「ナラティブ」とも呼ばれ、その語り手法を、ストーリーテリングとも呼びます。


物語の分析は、古くはアリストテレスの時代からされており、アリストテレスの『詩学』で物語論が語られて以来、その後も学問的な研究がされていて、文学分野や、教育学、また産業面ではエンターテイメント分野で、ストーリーテリングがテーマとなって来ました。


一方で近年は、その他の分野でも注目され、主に医療分野では、精神医学の分野でナラティブ・セラピーといわれる療法に、またビジネス分野では、「組織マネジメント分野」や「マーケティング分野」、また「経営戦略分野」で注目されています。


アメリカでは、2001年4月にワシントンDCで開催された「第1回スミソニアン・アソシエイツ・シンポジュウム」というイベントが、ストーリーテリングに関する始めての歴史的なシンポジュウムであったと前回少しご紹介しました。


そのテーマは「ストーリーテリング:21世紀のパスポート」というタイトルで、

  ラリー・ルプサック(歴史学者でIBMの役員)、
  ジョン・シェリー・ブラウン(ゼロックスのチーフサイエンティスト)、
  カタリナ・グロー(教育映画の制作配給会社CEO)、
  ステファン・デニング(元世界銀行ナレッジマネジメント部長)

という4名のそれぞれ背景の違うビジネス・エグゼクティブと学識経験者が各々の経歴と視点を異にするにもかかわらず、ナラティブ(narrative)という考え方が21世紀の組織を理解し、管理していく上で極めて価値あるレンズとなるという意見の一致をみて、同じ発見とその重要性を確信するというものだったようです。


以後、アメリカでは、ストラテジー・ビジネス誌やハーバード・ビジネス・レビュー誌やウォールストリートジャーナル紙で大きく取り上げられ、組織におけるストーリーテリングの重要性が注目されブームとなった経緯があるようです。


ということで、アメリカでは、ビジネスにおける物語の重要性は、まずは主に組織マネジメントや組織革新の分野で注目されました。


その後、日本にもハーバード・ビジネス・レビューで、前回紹介したステファン・デニング博士の論文や、米英で著名な脚本家養成者、ロバート・マッキーの『ストーリーテリングが人を動かす』(2004年4月)や
日経ビジネスアソシエ2004年7月6日号の『米国の若手リーダーが注目。論理力を超えるブレゼン・説得スキル 物語力とは?』、
日経情報ストラテジー2007年1月号の『業務革新を持続させるリーダーの条件:ストーリーテリング』
などの特集記事などで、組織マネジメント分野でのストーリーの重要性が紹介されました。


またアメリカではマーケティングの分野でも『パーミッション・マーケティング』などの著作で有名なセス・ゴーディンなどが『マーケティングは嘘を語れ!』(2005年)などで「ストーリーテリング」をテーマとしています。


一方、日本ではマーケティング分野で、20年前の1990年に福田俊彦氏が『物語マーケティング』を記され、
その後、生活心理分析者でありマーケッターの油谷遵氏の『“ストーリーマーケティング”のすすめ』
(PHP研究所 1992年4月)が記されており、
その後近年は、福田氏の系譜として『事例でわかる物語マーケティング』(日本能率協会マネジメントセンター2007年9月)を東京富士大学経営学部ビジネス心理学科教授の山川悟氏が記されています。


また、経営コンサルタントして著名な神田昌典氏は近著『全脳思考』の中でも物語の重要性を強調されていますが、その背景には『全脳思考』の発刊6年前の2003年に収録されている対談CDに『ハリウッドから学ぶ、大ヒットの法則〜ハリウッドの脚本ノウハウを、どのようにビジネスに活かすのか?』(2003年収録)ゲストとして登場されているゲストの岡田勲氏(ストーリーアーツ&サイエンス研究所 代表・東北芸術工科大学大学院教授)のストーリーに関する学識に大きく影響されておられることがわかります。


岡田勲先生には、私も今年の春先に、その門戸を叩き直接、教えを頂く機会を得ることができましたが、弊社が進める事業にも多大な影響を頂いた経緯があります。


またその他、最近は、組織管理論やマーケティング論からさらに進んで、企業の事業ビジョンや、経営理念などの観点から、ストーリーの重要性を捉えた書籍として、湘南ストーリーブランディング研究所の川上徹也氏の『仕事はストーリーで動かそう』や、『価格、品質、広告で勝負していたらお金がいくらあっても足りませんよ』(2009年6月)の両著(クロスメディア・パブリシング)や、経営コンサルタントの酒井光雄氏の『ストーリービジョンが経営を変える』(日本経営合理化協会出版局 2007年6月)また今年5月の発刊で既に5版となっている一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏の『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)などがあり、これらは今後の企業におけるストーリーの重要性を裏付ける潮流としても捉えることが出来るといえます。


次回以降、物語の具体的な効果をお話したいと思いますが、その効果と重要性については、「スミソニアン・アソシエイツ・シンポジュウム」で4人が共通見解にたどり着いたそれ以前にも、またそれ以降の最近においても、多くの学識経験者や、経営コンサルタントが指摘するように、今後企業経営においても、企業ブランドと併せて、ストーリーマネジメントが恐らく大きなトピックスととなることでしょう。

2010年09月06日 19:20