木幡社長ブログ

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マーケティングは嘘を語れ!

先日より、「パーミッション・マーケティング」の著者でも有名なセス・ゴーディンの最新刊の「マーケティングは嘘を語れ!(原題 All Marketers Are Liars)顧客の心をつかむストーリーテリングの極意」を読んでいる。


かなり過激なタイトルであるが、内容は実に興味深い。

マーケティングは嘘を語れ!マーケティングは嘘を語れ!” style=

近年、世の中にはモノが溢れ、私たちは豊かになり、普段、どうしても必要な(ニーズのある)(コモディティ化:日用品化・普及品化した)モノよりも、意外と、別に必ず買わなくてはいけない必然性はないが、なぜか欲しくなって(いわゆるニーズからではなくウォンツから)買ったモノの方も多いことだろう。


この書籍では、こうしたウォンツを満たすモノの購買には、消費者の世界観に合った物語(ストーリーテリング)が重要だと主張する。
また消費者は「本当の話」よりも、「信じられる物語」を聞きたがっている。だから優れた物語を作ろう。というのがこれからのマーケティングの合言葉となる。というような内容だ。


実際、私自身も、こうした物語性に興味を感じ、共感して、必然に迫られた訳でもないのにそれが欲しくなってモノを買った経験も多い。


先日、近年マーケティングで購買プロセスを表すAISCEAS理論の話題を当ブログで書かせていただいたが、セス・ゴーディンの同書を読んでいると、ニーズをベースとした必需品(コモディティ)の場合は、確かに価格や性能比較が重要な購入の指標となり、検索(Search)して、比較(Comparison)、検討(Examination)するプロセスが重要となるだろうが、消費者のウォンツを満たすモノの購買には、むしろ共感(Empathy)を呼ぶ優れた物語が重要なのではと改めて感じた次第で、私としては、やはり今後は、「AISEAS」を独自の理論として唱えてみたい。


ところで、ここでポイントなるのは、その物語が消費者の【世界観】という「価値観」や「信念」、「偏見」などの枠組みに合った物語であるかどうかということであり、そうした消費者の世界観にマッチして共感されるかが課題である。


つまりは、製品や商品そのものの仕様やスペックそのものよりも、顧客の世界観に訴えるかどうか?が重要で、やはり結局は本書内でも言われることは、作り手の理屈のプロダクトアウト的発想よりも、より顧客視点のマーケットイン的発想が求められるということだろう。


また、一方で本書ではストリーテリングのスキルテクニック的なことも紹介されているものの、「・・・嘘を語れ!」のタイトルに対して、むしろ物語られるモノそのものは、ホンモノでなくてはならず、マーケッターの倫理観も重要であると述べられている。


当然ながらいくら物語が語られようとも、最近世間を賑わすような食品偽造問題などのようでは、長く支持されるものにはならない訳だ。

2008年07月24日 23:58
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