[大阪] カテゴリー
2008年06月30日

大阪市内ものづくり企業の工場操業問題

大阪は、東洋のマンチェスターと称され近代商工都市として発展した19世紀後半から、これまで国内工業化社会の時代の牽引役的な役割を果たしてきた。


そんな歴史背景を持つ都市として、現在も大阪市・大阪府は多くの産業が集積した都市である。


また大阪は「中小企業のまち」といわれ、中でも、ものづくり分野の中小製造業の中には、非常に高度な技術力を有したところや、高付加価値製品を造る企業も数多い。


しかしながら、近年、大阪経済は地盤沈下が顕著となり平成18年の大阪市の経済統計調査では、大阪市内の製造事業所数(従業員4名以上)は10年前の平成8年から43.1%減(全国は30.1%減)の8,098事業所である。


さらに、製造品の工場出荷額は全国では10年前より0.6%増になっているのに対して、大阪市は10年前から毎年連続の減少で、39.7%(2 兆6374 億円)減の4 兆130 億円となっている。
(詳しくは大阪市の工業統計調査を参照下さい。)


大阪市内の製造業が減少している理由は、倒産や後継者不足による廃業もさることながら、都市での工場の操業環境が悪化してきているのも大きな理由である。


というのもここ十数年で約半減化した工場の跡地にはマンションや建売住宅がつぎつぎと建設され、準工業地域であったところでも、住宅地が増え、工場と新しい地域住民の方々との共生が難しくなり、工場操業がしづらくなって、さらに工場がどんどん市外・府外へ移転流失する悪循環のケースも多くみられる。


こうした現況の中で、数年前からものづくり再生をめざす大阪市も、この工場操業環境をとりまく現状課題について具体的な対策検討に大阪市経済局を主管として取り組まれることになり、実はその工場操業環境のあり方検討委員会に、若輩ながら今回、私も参加させていただくことになった。


そして、今日の午後がその初会合となった。


今後1年をかけて、この問題を討議対策が検討されるが私も微力ながらこの問題に、市内の一工場経営者の立場として関わり、大阪の一つの特徴である“ものづくり”の集積都市再生に出来る限りの力を尽くしたいと思っています。


【参考サイト】
大阪市データネット工業統計(大阪市都市計画調整局)
大阪の経済2008年版(大阪市経済局)
大阪市ものづくり再生プラン(第2ステージ・大阪市経済局)
「大阪市工場集積地実態調査」報告書


大阪市経済局「ものづくりんぐ.ネット」

大阪府ものづくりサポート(大阪府内の住工混在状況に関する現況調査)

2008年06月30日 23:41 | コメント (0)
2008年07月10日

手のひらの夢、おもちゃにかけた創業者の情熱

今日は、ある玩具メーカーを訪問させていただいた。


こちらの会社が作っておられるのは、まだ私が子供の頃には近所にもあった昔懐かしい駄菓子屋さんで売られていた小さなおもちゃの数々だ。


プラスチックの小物玩具で、「ポケット玩具」と呼ばれるようだが、私などには懐かしいこれらの玩具も今ではあまり目にすることも無くなった。

昔有ったおじいちゃんやおばちゃんが経営する駄菓子屋さんも、今は殆ど姿を消してしまったが、替わりに最近では、昭和ブームというのだろうか、時折ショッピングセンターの一角に駄菓子コーナーを見かけることもある。

確かにお菓子は懐かしいが、しかしそんな駄菓子売り場のコーナーには、あのお店のおじいちゃんや、おばあちゃんはそこには居ない。寂しいものだ。


話が少しそれたが、そんな駄菓子屋さんにあったようなコマやヨーヨーやパチンコなどの小物玩具を今も国産でこだわり作り続けておられるのが本日訪問させて戴いたお会社だ。
現社長は女性社長だが先代の創業社長はご主人で、40年近くも前に早くに急逝されたということだ。

その後、現社長は主婦から急に社長となられ、これまでかなり様々なご苦労なさってきたご様子だが、今日お話戴いた先代社長の思い出に、今も会社に根付くご主人の創業社長の情熱と精神の心が伝わり、感銘をうけたのでご紹介したい。


戦後の復興期、貧しい国土の津々浦々を、大阪の松屋町のおもちゃ問屋の営業として訪問されていた先代創業社長は、子供たちのわずかな小遣いで買い求めることのできるおもちゃを作りたいと創業され、以来、こどもの“手のひらに夢を”という願いで会社の儲けよりも、自社の役割はこども達の夢を育むことだと、商品開発に注力され続けたそうだ。


またその情熱と経営姿勢は、工場出荷するトラックの送り出しの際には必ず童謡をかけて見送られたというエピソードからも伝わり、このお話から、いかに創業者が熱い情熱をもって仕事に取り組まれていたのかを知り、それが今でもこうして商品として生き残りいまでもその精神が受け継がれていることに感銘をうけた。

2008年07月10日 23:50 | コメント (0)
2008年07月11日

大阪で一番古い民家、国定重要文化財奥田邸

昨日は、(社)大阪市工業会連合会の異業種交流会であるエックスメイトとという団体の定例会で、今月はその会の議長を務めておられる奥田さんのご自宅でもある奥田家住宅奥田邸をお訪ねした。


ご自宅が国定重要文化財に指定されている方など国内でもそう数多くはないだろうと思うが、実際に国有や都道府県所有は在れど、現在も個人所有の民家家屋でこうした重文指定の建物で、且つ一般にも公開しておられる例は極めて珍しいようだ。


奥田家は江戸時代には代々、河内国渋川郡鞍作村の庄屋を勤めた家柄で付近十ヵ村の庄屋代表でもあったようで、また楠氏の流れをくみ、中世末にはこの地方の豪族だったそうだ。


江戸時代初期の大庄屋屋敷全容が残された奥田邸は大阪市の南東部にある平野区加美鞍作(ひらのくかみくらつくり)にある。
この加美鞍作という地名は日本書紀の時代に朝鮮半島から渡来した鞍作部(くらつくりべ)という馬の鞍を作る木工技術を持つ渡来人が最初に住み着いた場所という由来があるそうだ。
その後、鞍作部といわれた渡来人は飛鳥の都に移り、世界最古の木造建築で世界遺産に指定される法隆寺の釈迦三尊像を彫った仏師、鞍作止利(くらつくりのとり)なども鞍作部一族の一人だといわれている。


奥田邸は大阪の街中にある約1,000坪のお屋敷で、昭和44年に主屋・米蔵など7棟が国の重要文化財に指定され、平成元年より5年の根本修理で建築当初の姿に復元されたようだ。その作りは主屋の重厚な茅葺の大屋根や長屋門形式の表門や前裁などの調和した美しさと豪農としての風格をもっている。


400年近くの歴史を持つ家屋の作りは、木造家屋で釘を全く使わず組み木の工法で出来ている様だがその素晴らしさには感嘆する。また昨日も大阪は暑かったが中に入ると自然の風が入り驚くほど涼しい。


奥田さんのお父様による解説をお聞きしながら、民間人が国の重要文化財を保護し守ることのご苦労と、文化を守ることへのお心意気が何気に伝わり、また江戸時代の庄家の暮らしぶりと情緒を感じるひと時はあっという間だった。


一般には予約制で第4日曜日のみ10:00〜16:00で公開しておられる。


その後、懇親会は奥田邸からすぐの、がんこ平野郷屋敷店にて会食をしたが、こちらも江戸時代に建築された豪商の屋敷を利用したお店である。

大阪市平野区は平野郷とよばれこうした古い建物が残り、まちぐりみ博物館として見所も多い町である。そんな大阪の町も多くの皆さんに知って頂きたい。


【参考】
奥田家住宅奥田邸(国定重要文化財)
大阪市平野区加味鞍作1丁目8−5
奥田邸保存会 TEL:06-6792-2695
JR大和路線 加美駅より徒歩3分

大阪市建設局 歴史の散歩道(今里・平野郷コース)
大阪の歴史の散策情報


2008年07月11日 23:55 | コメント (1)
2008年07月15日

テレビで紹介されていた(株)向井珍味堂さん

今日は、面識のある社長の会社がたまたまテレビ番組(MBS ちちんぷいぷい)で紹介されていた。


大阪ローカルの番組で、たまたま車での移動中にカーナビのTVをつけていると、大阪の元気な中小企業の紹介というテーマの番組で、聞き覚えのある社名が紹介されていた。


その会社は大阪市平野区にある食品メーカーの(株)向井珍味堂さんである。
同社で製造されている主な製品は七味唐辛子、青海苔、きな粉などである。

(株)向井珍味堂(株)向井珍味堂 webサイト
実は(株)向井珍味堂さんは私が所属する大阪市青年経営者連合会(市青連)の会員企業さんでもあり、同会の行事で、本年2月1日に開催された大都市青年経営者交流研究大会という全国6都市で毎年持ち回りで開催している会合の大阪大会で、大阪のお土産の一つとして同社の七味唐辛子を選ばせていただいた経緯があり、我が家でも美味しく頂いている。


同社の製品は、大変風味香ばしく、美味しい七味唐辛子で大変食が進む香辛料である。
社長の中尾敏彦さんとは、昨年の産業交流フェアでお名刺交換をさせて頂いた。


そんな面識のある方だったので、番組を思わず見入ってしまったのだが、同社の強み特徴がうまく紹介されており嬉しくなった。


創業者は御祖父様で中尾社長は3代目だそうだが、現在の(株)向井珍味堂さんの隆盛を築かれるにはやはりご苦労も多かったようだ。

特に、3代目の中尾社長が子供の頃から居られる古い番頭さんや年配社員さんの多い中、古い会社の体質を改善されてこられるには、ご苦労があったようでこんなお話が紹介されていた。


昔の作業現場は、空調も無く暑く過酷なところで、食品に虫が混入することも乾物業界では当たり前のことのような習慣もあり、電話で虫が入っていたというようなクレームにも「虫が食うのは美味しい証拠、それがいやなら買うていらん」というような会社の風土があったそうだ。


そんな中、「それではいかんやろう!」と食品工場では今では当たり前の白衣と帽子をしようとしても、古い社員さん達の間ではなかなか賛同されない中、ならば自分一人だけでもと、身に着けられ続け、長年社長自ら率先して黙々と掃除に励まれ続けた結果、次第に社員さんにも浸透し、今では安全性と品質管理が同社の大きな強みとなるまでになられたようだ。


同社のホームページを拝見すると、そんな元気な会社の社風が伝わるとても良いホームページだった。会社サイト以外にもオンラインショップサイトも2サイト展開され、ブログも熱心に、社員さん主体に更新されている様子も伺えた。


思わずいろいろ拝見し、市青連以外にも私も所属する大阪府中小企業家同友会にも参加され、私も以前、家業の(株)木幡計器製作所で取り組んだ同友会の共同求人活動にも参画され、会社組織改革に取り組まれていたことを知、り益々親近感を感じさせていただいた。

いずれ一度、向井珍味堂さんを実際に訪問させていただきたいなと思う。

2008年07月15日 23:58 | コメント (0)
2008年07月23日

お客様紹介 コイルセンターのパイオニア 大阪鋼圧(株)様

今日は、昨日に引き続きサイト公開されたばかりの弊社のお客様サイトをご紹介したい。

大阪市大正区泉尾にある大阪鋼圧(株)様は、今年、創業70年になる企業様で、業界ではコイルセンターといわれるお仕事をされている。


コイルセンターとは、鉄鋼メーカーで製造された鋼帯(コイル)を、スリッター加工といわれる狭幅に裁断加工したり、レベラー加工といわれる平板の鋼板に加工し流通される企業を意味し、その業界で同社はパイオニア的な企業様である。


大阪鋼圧(株)大阪鋼圧(株) webサイト

スリットコイル、レベラー鋼板から作られる主な最終製品としては、ホイール・ギア・チェーンや鋼製家具、建築鋼材、ボンベタンクなど、建築、自動車等を始めの各種産業で幅広く使用されている。


今回同社のホームページはリニューアルであったが、ご要望により、特に動画を利用した工場設備ラインのご紹介や、求人情報の掲載に力を入れさせていただいた。

また同社は地元、大阪市大正区で、社団法人大正工業会の会長企業も務めておられ、地域のリーダーカンパニーとしても貢献しておられ、実は、私は日頃、同社の御子息とは、同会の青年部組織である大正工業若葉会でご一緒させて頂いているご縁でもある。


同社のある大正区は大阪市内でもかつては工業生産額が長年最も高い行政区(現在は第4位)であり、臨海工業地域として栄えた場所である。
明治以降、日本の近代産業化の先駆けであった日本初の本格的な紡績会社として大阪紡績(株)(現 東洋紡績(株))の工場が最初に操業した場所であり、その後、造船、鉄鋼などの工業が進出し目覚しい発展を遂げた。


そんな地で同社は長年、日本の工業を支える仕事で、堅実に貢献してこられたといえる。

また海と川に囲まれた臨海地区という強みを活かし、同社の工場は、船を横付けが可能で船から直接、鋼材を陸揚げ運搬が可能だという。そうした面も同社の大きな強みの独自資源(Asset)だといえよう。

2008年07月23日 16:44 | コメント (0)
2008年07月27日

恐るべしムッシュムシパン!

休日の今日は、朝から生後5ヶ月の娘を連れて妻と一緒に、大阪市阿倍野区にあるあべの王子商店街まで出かけた。


目的はといえば、蒸しパンである。

蒸しパン
で、そもそもなんで蒸しパン?かというとたまたま前日に購入した大阪のタウンガイドムック本の「世界レベルの大阪ええもん」という本に、この「ムッシュムシパン」というお店が紹介されており、その記事の紹介が「日本初(たぶん)、蒸しパン専門店」となっており、興味を引かれ、それに美味しそうで、蒸しパン好きの妻のリクエストもあって朝から繰り出した訳だ。


実際に行って見ると、まず、あべの王子商店街は、大阪の下町の昭和レトロな感もある小さな商店街だが、よく最近の商店街は閑散としていると言われるような感は少しもなく、下町の素敵な人情味が漂っていて、何故だかとっても活気付いているように思えた。


実に個性的なお店も多く、ディスプレイのされかたも工夫されたところが多いのか、なんだかワクワク感がある。きっと商店街組合も恐らく活性化していて、地域コミュニティーとの調和も良くされているのだろうと察知できた。

蒸しパン


そして、目的の蒸しパン専門店の蒸しパン屋さん「ムッシュムシパン」さんに到着。


小さなお店ながら、明るく開放的でその店名からも小洒落た感じのあるお店で、陳列された蒸しパンはどれも美味しそうで、とても繁盛している様子だ。

店内


店の片隅には、お店のキャラクターかキノコのようなぬいぐるみと、どうやら週刊でお店が発行してしておられる「ムシパン新聞」というのが3週分、置かれていて、いろんな集客努力を熱心にされておられる感じがした。


店内


私たちは、きんぴらごぼう、スパイシーカレー、紅茶、きなこ粒あん、塩炊き大納言、丹波黒豆・栗の蒸しパンを購入した。食べてみるとこれが、どれもとっても美味しい。


自宅に帰ってから、このお店のホームページを拝見したのだが、実に素晴らしい。


驚いたのは、店主の渡辺さんを始め、スタッフの皆さんが皆さん毎日ブログを書いておられるのだ。それに、ホームページがユーモアに溢れ、実に楽しい。
なるほどファンが増えるはずだ!もちろん、蒸しパンはとっても美味しいのだが、そこには物語が多く語られ、極めて素晴らしいマーケティングが展開されている。


ホームページの「活動」のページを拝見すると、どうやら、店主の渡辺氏は、繁盛店になるためのビジネスセミナーの講師もされておられるようだ。


ブログの中で、渡辺氏はこう語られている。


「今回のセミナーでは『集客』というテーマで語らせてもらいました。
(中略)実はその『秘訣』はごくありふれた手法、要するにムッシュムシパンは目新しいことなど何もしておらず、
ごくごく当たり前ながらも、非常に重要なことを毎日真面目に続けているだけで、いつの間にか、たくさんのお客さんに集まってきてもらっていた。。

つまり、『集客』のために必要なことは、目新しいマーケティング技術や集客を見込めるイベントを企画することではなく、「ちゃんとした仕事」「プロの仕事」を地道に続けていくことです。」


手法に偏ることなく、やはりまずは、基本となるプロとしての姿勢を大切にされておられるところに、共感させていただいた。


しかし、このマーケティング力に長けた蒸しパン屋さん。
恐るべし「ムッシュムシパン」という感じである。

2008年07月27日 23:58 | コメント (0)
2008年08月20日

出口はあるか?

今日の午前中は、サチウェイインターナショナル事業部のミーティングを行っていた。
主な議題は先般のリーダーズ研修の件と、今後の展開についてである。


同事業部における現在の主な事業としては、カーディオキックという「空手」と「エアロビクス」と「キックボクシング」を融合させた独自のフィットネスプログラムの普及推進とインストラクター養成の教育研修事業である。


今後さらに当社としてはこのカーディオキックのインストラクター養成ができるトレーナーを増員することで、このカーディオキックインストラクターライセンス資格取得の研修の開催頻度も増やし、インストラクターの強化を行っていく方針を採りたいと思っている。


それに伴い課題となるのは、カーディオキックインストラクターの活躍の機会を創出することである。


その意味では当然のことながら、このプログラムの広報宣伝を強化するとともに、実際の活躍現場の開拓が望まれる。


折角ライセンスを取得しても、それを教える場所や機会がなければその意味がないからだ。


その課題意識を持ちながら、現在は今後の具体的な展開を検討しているところだ。


そしてそんなことをいろいろ考えながら、本日は夕刻よりロボットラボラトリーで開催された次世代ロボット開発ネットワークRooBOの運営委員会の会議に参加した。


私はこのRooBOの開設時よりこの運営委員会の委員として末席を汚させていただいている。


ここの中で、ロボット開発者の人材育成教育ビジネスのお話となり、基盤技術となる組込み系のプログラム開発の人材教育に関しては、ここでもその教育を受けた方の受け皿が問題ということだ。


大阪市は現在、ロボット開発を今後の大阪の新しい産業基盤の1つとしたいという構想のもと数年前から、その支援施設としてロボットラボラトリーの開設をされ、その成果は着実に実ってきている。


しかし、先の開発者人材の受け皿としては、実際のところ、やはり大手企業が多い東京を中心とした首都圏に人材教育ニーズが偏っている。


ロボット産業都市を目指しその実績を上げつつある大阪ではあるが、中小企業がロボット産業の中心となっている点からも、残念なことにまだまだそうした人材の受け皿としての求人ニーズの需給バランスは良くないようだ。


ロボットの開発技術を学びたいというニーズを抱えた人は多くても、受け口としての出口が少なく実際はビジネスとしては成立しにくいようである。


ロボット産業はこれからの産業分野だけにこうした人材の出口となる受け皿はまだまだこれからだとは思うが、いずれにしても人材育成ビジネスにおける出口戦略は重要だといえよう。

2008年08月20日 23:48 | コメント (0)
2008年08月29日

第2回工場操業環境のあり方検討委員会

昨日、第2回の工場操業環境のあり方検討委員会が開催され参加してきた。


前回の第1回委員会が開催された日のブログ記事でも、大阪市内の工場事業所が直面している問題について触れた。


それは工場周辺の環境が住宅・マンションの増加により、住工混在の問題が悪化し、工場操業が難しくなってきているという現実だ。


この問題について大阪市も重要課題として取り組まれ、その問題解決のための工場立地支援施策を検討するため、学識経験者・専門家と市内の工場事業者で構成される委員会をもたれているが、私も若輩ながらその一人としてこの委員会に参加させていただいている。


今回は、こうした住工混在問題について取り組まれている他の行政市の取り組みなどが紹介され参考材料とすることになった。


他都市の施策については、以下のようなものが紹介された。


兵庫県尼崎市・・・(1)住環境整備条例による工業系地域のマンション等の規制
         (工業地域のマンション立地には外側に広い緩衝緑地帯を義務付け)
         (2)商業立地ガイドラインによる工業地の操業環境保全
         (市内を8つのゾーンに区分、土地利用の誘導パターンを提示)
         (3)工業保全型特別工業地区(特別用途地区)指定
         (2007年3月に機械・金属メーカーの集積地の扶桑町を指定)


神奈川県相模原市・・・産業集積促進条例(STEP50)
           (工業用地の保全に対して奨励金交付)


大阪府東大阪市・・・住工混在工業集積地 高井田地区の取り組み
          (1)地域資源マップ「高井田のチカラ」、
          地域課題集「高井田の素顔」の発行
           (地域内の全住民・全企業に配布、地域情報を共有)
          (2)高井田まちづくり協議会の設立
           (地域に開かれた議論の場づくり、広報誌の発行など)
          (3)地区内マンション建設への対応
           (入居者に工業地域である旨等の事前周知事項の覚書締結)


などの事例をご紹介頂いた。


各地とも、建築規制策、保全奨励策、住工地域調和策等の方向で施策をとられているようだ。


大阪市もこれまでこれらの側面から、一部で地域環境づくりへの取り組みとして地域主体の産業イベントの開催・研究会の設置や、重点産業分野に限っての助成制度などの施策があるが、今後こうした各市の取り組みも参考に当委員会で方向性を検討していくことなる。


また、これらの各市の施策事例の紹介のほか、委員でおられる大阪市立大学の立見教授の大阪府大東市での実態調査のご報告と、大阪都市経済調査会での大阪市内のものづくり拠点の空間分布の変容についてのご報告があった。


当社の工場が立地する大阪市大正区は臨海工業地域でもあり、また住工混在の地域でもあるが、今回先の大阪都市経済調査会での大阪市内のものづくり拠点の空間分布の変容の調査報告からも工場減少率が比較的ゆるやかなほうであった。


考えてみると、当社も約25年ほど前に同じ大正区の中でも、住工混在のエリアで操業しづらいのを理由に、幸い大阪市の土地区画整理事業ですぐ近くに出来た現所在の工場団地に移転している。


おかげで現在はこうした住工混在問題で悩まされてはいないのだが、住工混在のメッリトは大いにあり、当社の従業員のうち4割が大正区民である。


また私は違うのだが、私が所属する地元(社)大正工業工業会の青年部である大正工業若葉会のメンバーさんで、事業主が大正区に住まわれている比率も多い。また皆さんは地域の中でも、町会やPTAなどの要職を努められるケースも多く、そういう意味では地域コミュニティーの中でも欠くことの出来ない存在でいらっしゃる。


そうした地域との共生相互理解が成立していることは、住工混在による工場操業問題の解消において大きな役割を果たしているといえよう。


我々中小企業の事業主は、自社の業績と併せて、地域のまちづくりや文化に関して関心を持つこともとても重要なのではと思える。

2008年08月29日 23:36 | コメント (0)
2008年09月16日

大阪市立海洋博物館「なにわの海の時空館」

連休の間の日曜日に大阪市立海洋博物館「なにわの海の時空館」に妻と生後半年の娘を連れて行ってきた。


なにわの海の時空館
同所は2000年7月に開館し、大阪青年会議所の先輩でもある作家の石浜紅子さんが館長に就任されたということは前から知っていたのだが、恥ずかしながら今回が初めての見学であった。


しかし、行って見ての感想は、体験型でエンターテイメント性溢れ、子供も大人も楽しめる実に素晴らしい博物館だ。


海洋都市として古代難波津の時代から、物流・文化の拠点として発展してきた大坂のまちのなりたちや菱垣廻船の海洋船舶技術を身近に体験できる展示と、江戸時代の町人パフォーマンスは見学者を楽しませてくれる。


同博物館は大阪市制100周年記念事業として昭和58年〔1983年〕から17年かけて建築準備され、博物館の目玉であるドームの中央に設置復元された全長30mの菱垣廻船「浪華丸」は、調査から含めると6年かけて復元建造され、1999年には実際に海上を試験帆走するという夢とロマン溢れるプロジェクトであったようで、大阪市も粋なことをしたものだなと感心した。


余談になるがその他にも大阪市は、一般市民が航海を体験できる日本で唯一の航海練習船の「あこがれ」という帆船を所有していて、一般の市民・子供を対象としたセイル・トレーニングは人気のようだ。そんな、「あこがれ」の紹介もされていて興味深かった。


入館から気が付けば、3時間もじっくり楽しめた。


実は、私は「大阪歴史博物館」「住まいのミュージアム・大阪くらしの今昔館」など、その他の大阪の博物館も大好きだが、この「なにわの海の時空館」もこれらに通じるものがある。
これらはいずれも“大阪の博物館は凄い”と、我々大阪人がもっと誇りを持って愛すべきところではないかと思う。


大阪には他にも、世界に誇れるような、大阪市立東洋陶磁美術館(西の英国パーシヴァル・デイヴィッド卿コレクションと東の安宅コレクションといわれる世界2大陶磁コレクションのうちの1つである「安宅コレクション」を中心に東洋陶磁専門の美術館としては世界第一級の質と量を誇る)があったりするが、しかし、こちらも世界第一級の美術館であるということを、いったい大阪市民の内どれだけの人がそのことを自覚しているのだろう。


以前から私は思うのだが、大阪には数多くの文化資源の宝庫であるのに、大阪人にはその自覚があまりないように思う。


大阪の復興には歴史の再認識と文化力の向上が大切だと思うのは、私だけだろうか?

2008年09月16日 20:42 | コメント (0)