木幡社長ブログ
[2010年09月] カテゴリー
2010年09月06日

日刊工業新聞に弊社サービスが掲載されました。

先日取材を頂いた弊社の「物語マーケティング〜漫画等を利用した物語コンテンツ制作サービス」が本日、平成22年9月6日(月)朝刊の26面に掲載紹介を頂きました。 ⇒ 紹介記事(PDF)


併せて、日刊工業新聞のwebサイトの「彩々新製品」というコーナーにも取り上げていただきました。
http://www.nikkan.co.jp/saisai/100906.html


さて、前回のブログ記事では、物語の重要性がビジネスの分野で何時頃から注目され始めたのかについてお話をしました。「物語の特徴」をお話しする前に、また前置きが長くなりますが、今回も前回の記事を補足・整理しておきたいと思います。


物語(ストーリー)は、別の表現では「ナラティブ」とも呼ばれ、その語り手法を、ストーリーテリングとも呼びます。


物語の分析は、古くはアリストテレスの時代からされており、アリストテレスの『詩学』で物語論が語られて以来、その後も学問的な研究がされていて、文学分野や、教育学、また産業面ではエンターテイメント分野で、ストーリーテリングがテーマとなって来ました。


一方で近年は、その他の分野でも注目され、主に医療分野では、精神医学の分野でナラティブ・セラピーといわれる療法に、またビジネス分野では、「組織マネジメント分野」や「マーケティング分野」、また「経営戦略分野」で注目されています。


アメリカでは、2001年4月にワシントンDCで開催された「第1回スミソニアン・アソシエイツ・シンポジュウム」というイベントが、ストーリーテリングに関する始めての歴史的なシンポジュウムであったと前回少しご紹介しました。


そのテーマは「ストーリーテリング:21世紀のパスポート」というタイトルで、

  ラリー・ルプサック(歴史学者でIBMの役員)、
  ジョン・シェリー・ブラウン(ゼロックスのチーフサイエンティスト)、
  カタリナ・グロー(教育映画の制作配給会社CEO)、
  ステファン・デニング(元世界銀行ナレッジマネジメント部長)

という4名のそれぞれ背景の違うビジネス・エグゼクティブと学識経験者が各々の経歴と視点を異にするにもかかわらず、ナラティブ(narrative)という考え方が21世紀の組織を理解し、管理していく上で極めて価値あるレンズとなるという意見の一致をみて、同じ発見とその重要性を確信するというものだったようです。


以後、アメリカでは、ストラテジー・ビジネス誌やハーバード・ビジネス・レビュー誌やウォールストリートジャーナル紙で大きく取り上げられ、組織におけるストーリーテリングの重要性が注目されブームとなった経緯があるようです。


ということで、アメリカでは、ビジネスにおける物語の重要性は、まずは主に組織マネジメントや組織革新の分野で注目されました。


その後、日本にもハーバード・ビジネス・レビューで、前回紹介したステファン・デニング博士の論文や、米英で著名な脚本家養成者、ロバート・マッキーの『ストーリーテリングが人を動かす』(2004年4月)や
日経ビジネスアソシエ2004年7月6日号の『米国の若手リーダーが注目。論理力を超えるブレゼン・説得スキル 物語力とは?』、
日経情報ストラテジー2007年1月号の『業務革新を持続させるリーダーの条件:ストーリーテリング』
などの特集記事などで、組織マネジメント分野でのストーリーの重要性が紹介されました。


またアメリカではマーケティングの分野でも『パーミッション・マーケティング』などの著作で有名なセス・ゴーディンなどが『マーケティングは嘘を語れ!』(2005年)などで「ストーリーテリング」をテーマとしています。


一方、日本ではマーケティング分野で、20年前の1990年に福田俊彦氏が『物語マーケティング』を記され、
その後、生活心理分析者でありマーケッターの油谷遵氏の『“ストーリーマーケティング”のすすめ』
(PHP研究所 1992年4月)が記されており、
その後近年は、福田氏の系譜として『事例でわかる物語マーケティング』(日本能率協会マネジメントセンター2007年9月)を東京富士大学経営学部ビジネス心理学科教授の山川悟氏が記されています。


また、経営コンサルタントして著名な神田昌典氏は近著『全脳思考』の中でも物語の重要性を強調されていますが、その背景には『全脳思考』の発刊6年前の2003年に収録されている対談CDに『ハリウッドから学ぶ、大ヒットの法則〜ハリウッドの脚本ノウハウを、どのようにビジネスに活かすのか?』(2003年収録)ゲストとして登場されているゲストの岡田勲氏(ストーリーアーツ&サイエンス研究所 代表・東北芸術工科大学大学院教授)のストーリーに関する学識に大きく影響されておられることがわかります。


岡田勲先生には、私も今年の春先に、その門戸を叩き直接、教えを頂く機会を得ることができましたが、弊社が進める事業にも多大な影響を頂いた経緯があります。


またその他、最近は、組織管理論やマーケティング論からさらに進んで、企業の事業ビジョンや、経営理念などの観点から、ストーリーの重要性を捉えた書籍として、湘南ストーリーブランディング研究所の川上徹也氏の『仕事はストーリーで動かそう』や、『価格、品質、広告で勝負していたらお金がいくらあっても足りませんよ』(2009年6月)の両著(クロスメディア・パブリシング)や、経営コンサルタントの酒井光雄氏の『ストーリービジョンが経営を変える』(日本経営合理化協会出版局 2007年6月)また今年5月の発刊で既に5版となっている一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏の『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)などがあり、これらは今後の企業におけるストーリーの重要性を裏付ける潮流としても捉えることが出来るといえます。


次回以降、物語の具体的な効果をお話したいと思いますが、その効果と重要性については、「スミソニアン・アソシエイツ・シンポジュウム」で4人が共通見解にたどり着いたそれ以前にも、またそれ以降の最近においても、多くの学識経験者や、経営コンサルタントが指摘するように、今後企業経営においても、企業ブランドと併せて、ストーリーマネジメントが恐らく大きなトピックスととなることでしょう。

2010年09月06日 19:20