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今日は、弊社ホームページからお問い合わせを頂いた企業様へ3度目の訪問打ち合わせを行なった。
同社は一般消費者向け製品のメーカーであり、前回弊社が行なったサイトコンセプト提案に基づき、2時間半かけてサイト構成の擦り合わせを行なった。
今回、その打ち合わせの中で、製品の販売価格のことが話題となり、価格設定について弊社よりご提案申し上げたことがあったので、今日はその事について少し書いてみたい。
日本のものづくり企業は、これまで「良いものを安く」という神話を信じ続けてきた。
確かに、良いものが安ければ、それにこしたことはないし、ユーザーも喜ぶと思うのは当然だが、果たして本当に「良いものを安く」がよいのだろうか?
一方で、ニッチな高級品が売れ、手に入りにくいものは予約が殺到して人気であるというケースがある。これらは、こだわりを求め、価格を気にしないこだわり層には「良いものを高く」という方がうけるという事例だと言えよう。
これまで、日本のものづくり企業にとっては、良い品質のもの安く売ることが企業使命でもあり、ものづくりの製造現場では、改善を重ね、そこで国際競争力を高めてきた経緯がある。
今では、生産拠点を中国・東南アジアに移し、安くて品質の高いものは、世界の工場となった中国・東南アジアで数多く生産され、かつ、近年は生産だけではなく現地の製品開発力も年々高まってきている。
先日もこのブログで紹介したが、そんな状況に危機感をもった政府でも、今後は新しい競争軸として「感性価値」を提唱している。
だがそうした「感性価値」の重要性に気付きながらも、これまで高度経済成長を続け、マスマーケットの大量生産大量消費で、品物もたくさん安くつくることを長年経験しつづけた我々日本人には、今でもまだ「良いものが安ければ売れて当然」という発想から抜けきれない面もあるのではと感じる。
今日伺った同社はこれまで、テレビ通販などを通じて、数多くのヒット商品を作り販売実績を重ねてこられたが、従来のバイヤー主体の販売手法のみでは、段々、製品ライフサイクルも短くなりがちなようだ。
一般に製品ライフサイクルの成熟期から衰退期にかけては、製品価格のディスカウントがとられることも多い。
今回の場合でも、同社のメーカー直販サイトの強化策として、当初、戦略の一つの柱に低価格戦略を考えておられたが、私はあえて反対意見を述べさせてもらった。
というのも同社は、これまでものづくりの基本姿勢は、真面目に製品実証試験も多くされ、本当に良い製品作りをされてきておられる。
それだけに、今後新しいサイトでは、これまであまりうまく伝えることが出来ていなかったこうした面を、しっかり語り、「共感」を生むことをして行きたい。
さらにユーザー層を絞ったWEB戦略で、ブランド価値を高めることを考えている。
実際に全く同じ商品でも、対象ユーザーを変え、今までとは違った面を訴求することで一挙に売り上げが変わることがある。
聞けば実際過去にそんな経験も同社はお持ちのようだ。
そのためには、あえて価格を下げることはしないで欲しいとお願いし、従来通りの標準定価設定にて、ご理解・ご同意をいただけた。
価格を下げることはいつでも出来る。
一方で、現在の物価高騰の状況下ですら、値上げは通常難しい。
安易に価格を下げて販売量をねらうのではなく、仮に下げるとしても理由付けが必要である。
もし価格を下げるとするならば、必ず数量限定とか、期間限定の時限設定を設けるべきである。
また、価格は下げないでも、別にちょっとした特典やサービス向上に、その資源を充てるべきだろう。
むしろその方が、喜ばれるケースもある。
有田の窯元です。:
木幡様。このブログの内容、ごもっともです。
確かに、不景気でも良いものは売れますものね。
感性価値は本当に大切ですね。
これからの時代を生き抜くキーワードですね。
木幡 巌:
有田の窯元さま
コメントを頂きありがとうございます。
有田焼といえば日本の伝統工芸の中でも代表的な工芸品であり、その日本磁器発祥地の有田から私のブログ記事にご賛同頂き大変恐縮です。
工芸品はまさに感性価値がもっとも重要なものだと言えますよね。
ここのところ私は伝統工芸品に習い、工業製品にも感性価値が付加できないものだろうかといつも思念しております。