木幡社長ブログ

« 届かない感性価値メイン成功するネーミング »

三代目鈴木紀夫

三代目鈴木紀夫、このブログタイトルから一体何をイメージされただろう?


私のブログ記事を何度かご覧頂いた方なら、きっとどこかの老舗企業の三代目経営者の話だろうと思っていただいたのではないかと思う。


確かに、ある意味それは一部正解とも言えなくはないが、実はこれ、【おむすび】の名前なのだ。


『お・む・す・び???』


そう、おむすび。


東京銀座にある『十石』というおむすび専門店の南蛮味噌おむすびの名前なのだそうだ。

銀座「十石」銀座「十石」
先ほど、一部正解と言ったのは、このおむすびの名前のは、由来はこの南蛮味噌の生産者の名前をそのままおむすびの名前としてネーミングされたからだ。


しかし、おむすびの名前としては奇抜な名前である。


どうやら、お店に入ったお客さんも始めてこの商品値札を目にすると、自分の目を疑いあらためて見直すのだそうだ。


この現象を私が大学で専攻していた社会心理学では【認知的不協和】という。


【認知的不協和】とは、「人は普段自分が認知しているものと違うものと遭遇するとギャップが生まれ、不協和が発生する。すると心理的にこの不協和を解消しようという衝動に駆られるという性質をもっている。」という人の心理を表す用語である。


先日紹介したセス・ゴーディンの著書「マーケティングは嘘を語れ!」のタイトルもまさにこの認知的不協和の心理テクニックを利用してデザインされたものである)


これが、「南蛮味噌」という普通の名札ではどうだろう?
恐らく気に留めず見過ごすことさえあるだろう。


しかし、この「三代目鈴木紀夫」というおむすびに相応しくない値札をみると、専門的に言うと【認知的不協和】が発生し、つまり「なんで鈴木紀夫なん??」とその理由を知りたくなるわけだ。


そして、値札の近くにはその名前の由来が説明され、生産者の手書きの手紙が添えられているのだそうだ。


このネーミングは人の関心を引くことを意図して付けられ、さらにその名の由来を知りたいという次の行動までしっかりデザインされているというわけだ。


そうそう、これが欲しかった!感性価値を創るマーケティング
実はこの事例は、前日のブログで紹介した小阪裕司氏の著書「そうそう、これが欲しかった!感性価値を創るマーケティング」の中で「感性消費行動のデザイン」という章で紹介されていた事例である。


このマーケティング手法で普段は人気のない調理味噌系のおむすびが、5倍の売り上げを生み出したそうだ。


この事例の「銀座十石」というおむすび屋さんのホームページを見ると、オンラインショップがあり、この南蛮味噌の紹介とこのお味噌のセットが販売されていた。


そこには、この味味噌の生産者であり、新潟の小さな町の小さなスーパーの経営者である鈴木紀夫さんのお店に車椅子の方が往復4時間かけてこの南蛮味噌を買いにこられたというエピソードも綴られていた。


そして私もその南蛮味噌をこのサイトで購入してみた。(笑)

2008年08月13日 23:46
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