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昨日も取り上げたが、【ブルーオーシャン戦略】は2005年にビジネス書部門で、世界的にベストセラーになった企業戦略論であり、フランスのビジネススクールINSEADで教鞭をとる韓国人男性のW・チャン・キムとアメリカ人女性レネ・モボルニュが2004年10月のハーバード・ビジネス・レビューで立案発表したものである。
ブルーオーシャン戦略
具体的には、『血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場〈レッド・オーシャン(赤い海)〉を抜け出し、競争自体を無意味なものにする未開拓の市場〈ブルー・オーシャン(青い海)〉を創造すること』が提唱されている。
マイケル・ポーターに代表されるような従来の企業戦略論が、競争を主軸においた「競争戦略論」であったのに対し、その競争を無意味にし、従来理論を根底から覆すような発想であることが、注目を浴びた理由であり、それは「未知の市場を創造する」戦略である。
では、『未知の市場=ブルーオーシャン』を創造するための鍵はなんであろうか?
それについて、キムとモボルニュは、【バリュー・イノベーション】が戦略の土台だという。
【バリュー・イノベーション】とは、
『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネス・モデルを構築することによって、既存市場の境界を再定義すること』
と定義付け、端的に言うと
【差別化と低コスト化の同時実現】を目指すものだとされている。
「差別化」と「低コスト化」という一見相反するような要素をどのように実現するのか?と思われるのではないかと思う。
私もそうであったが、この「ブルーオーシャン戦略」には、それを実現するための戦略立案方法を事例で紹介すると共に、幾つかの視点と、戦略策定のためのツールが紹介されている。
その『バリューイノベーションの実現』のための手順として、レッドオーシャンからブルーオーシャンへ至る戦略策定ツールとして書籍の中で紹介されているものに、
【戦略キャンパス】と【6つのパス】、【4つのアクション】というものがある。
ブルーオーシャン戦略においても、まずは他の戦略同様現状分析を行うのだが、この時、最初に利用されるのが【戦略キャンパス】である。
【戦略キャンパス】はその業界が対象とする市場空間の特徴を認識するための道具で、下図のようなものである。
横軸には業界各社が力を入れる要因を入れ、縦軸には各要因について買い手が得る価値の度合いを示す数値軸を設ける。
次に業界標準や競争相手、自社について各要素の度合いをプロットしていく、そこで出来る折れ線グラフの曲線を【価値曲線】と呼び、これを見ることでまずは、業界全体、競合相手、そして自社の戦略プロフィールを理解する。
そして『ブルーオーシャン戦略』では、この【戦略キャンパス】の【価値曲線】を、競争相手をベンチマークして模倣するのではなく、新市場を目指すために、他社とは異なる価値曲線を描き加えるということをする。
では、新市場を目指すために進む道について次に考えると、その道はは2つ考えられる。
1つは、『あらゆる点において新市場を創造する道』と
もう1つは、『市場を定義する価値を問い直し、市場の境界を引き直す道』である。
このうちブルーオーシャン戦略では【市場の境界を引き直す】という点に注目する。
この【市場の境界を引き直す】ための、次のアプローチが【顧客以外に目を向ける】という点と【6つのパス】である。
次回はこの点について、まとめてみたい。