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一昨日は、【同業他社リサーチ】を行うことにより、弊社が同業他社に比べ「製造業のホームページ制作の実績が多いこと」に気付いて以来、弊社はあえて『製造業のホームページが得意なホームページ屋です。』と『ハイ!と手を挙げる』=“自社の特長を意識して表現する”ことにして、製造業のお客様の安心感を獲得した事例をご紹介した。
この“自社の特長を意識して表現する”ということは、その会社の『尖がり』をつくり、顧客に対して、他社との違いを特長付けることに繋がるといえる。
ではこの「自社の特長をどう作り上げるか?」であるが、
それには、佐藤義典氏の戦略BASiCS理論で提唱される自社ならではの独自資源(Asset:アセット)が何であるかを考えることが重要だ。
今回はこの、『自社ならではの独自資源をどう捉えるか?』という点について、さらにもう少し考えてみたいと思う。
よく、大阪の中小企業の社長に「御社の強みは何ですか?」とご質問すると、大阪人特有の自虐的な謙遜もあるのだろうが
「うちの強みなぁ。う〜ん。これといってあらへなぁ。・・・」と
言われてしまったりして困ったりする(苦笑)のだが、しかし、そう言わずに少しよく考えてみて頂きたい。
確かに自社の強みを探ろうとしても、資源の乏しい中小零細企業においては難しいものがある。
実際、私自身も家業に従事していた時代には、そうした自社の強みなどは少しも感じることがなく、むしろ同業他社と比較してみると気が滅入り、ただ閉塞感を感じていた一人であった。
しかし、こうしてホームページ制作に携わり、各社のホームページをお客様と共に検討し同社のWEB戦略を考える中で私の意識は次第に変わっていった。
人の「短所」が場合によっては「長所」であったり、またその逆であったりするように、「自分らしさ」「自社らしさ」の一面が、まさに自社ならではのアセット(Asset)独自資源であり、一見「弱み」と思える短所も、ある局面では、その会社の「強み」となることもあるのだということに気付いたからだ。
この気付きを私に教えてくれた【衝撃のホームページ】があった。
それは、2002年のことになるが、エミダスという全国の工場・製造業検索のポータルサイトを運営するNCネットワークが主催して初めて行われた第1回エミダスホームページ大賞という製造業のホームページのコンテストで3ちゃん賞という賞を受賞された(有)イワセさんのホームページだ。
有限会社イワセ
(有)イワセは、新潟県燕市で、通称“挽き物屋さん”と言われる小物部品の精密切削加工をされる企業だ。
2002年の受賞当時の同社のホームページからは、何度かリニューアルされているので現在のホームページは内容が変わっているが、エミダスホームページ大賞2002のページには当時のTOPがまだ小さく掲載されている。
この当時のホームページのタイトルは衝撃的であった!
「3ちゃん会社の挽きもの屋さんイワセ」である。
「3ちゃん会社」とはとうちゃん、かあちゃん、にいちゃんの3ちゃん、いわゆる家族だけで営む、家内製工業のことを、卑下していうような言葉である。
そして、さらに衝撃的なのはそのトップページだ。そこには、工場の前でにっこり笑って撮った家族の写真に、父ちゃん(社長)、兄ちゃん(専務)、母ちゃん(経理)、おとうと(工場長)、いもうと(検査員)と書かれていた。
「3ちゃん会社の挽きもの屋さんイワセ」のタイトルの下には、
「私たちは3ちゃん会社。家族だけで操業している会社(旋盤加工屋)です。
皆様から気に入っていただければ幸いです。どうぞご自由にご使用くださいませ。」
とあるではないか。
これには、私も脱帽だった。
当時のホームページの会社概要の『展望』には、
「当社は兄弟3人と父母の家族だけで行っている、三ちゃん企業(家内工業)であります。ですから、余計な人件費や管理費などの経費が一切必要ない為、ローコストにて供給が可能であります。
又、24時間体制であるため、<短納期><高生産><高品質>な部品を最精鋭
のマシンにて加工しお届け致します。
コスト削減にてお困りのユーザー様、是非一度私共の三ちゃん企業≪イワセ≫
を御試し下さい。口座等などの面倒な事は申しません、現在御使用の商社様、又は
協力メーカー様経由で結構であります。」
とあった。 恐れ入りました。
普通世間一般には“3ちゃん企業”とは、あまりいい意味では使われないが、こちらはそれを逆手にとって、表現一つで「小回りの良さと、ローコスト」をアピールする『強み』に見事に変えておられるたのだ。
ページからは誠実さと、家族力を併せて頑張る姿が真摯に伝わり、思わず「ガンバレ!」と声援したくなるような良さがあった。
現在はその後、当時専務の兄ちゃんと、当時検査員のいもうとさんが結婚され、それぞれお嫁さんと旦那さんが加わり、もう恐らく3ちゃん会社では無くなっているのだろうが、今も家族で頑張ってどんどん業績を伸ばされているようだ。
このホームページが恐らく契機となり経営革新し、その後多くの取引先を獲得され、受賞の翌年新工場を設立、昨年も工場団地に新工場設立と破竹の勢いで、兄ちゃんが社長に代替わりされているようで何よりだ。
このイワセさんは、プラス発想とその表現で、正に『弱み』を『強み』に転じて成功された好例だろう。
(余談だが、このイワセさんのホームページとの衝撃の出会い以来、私は同社とは交流はないものの、同社のことをいつも自分のセミナー等でご紹介していて、そこでこの事例をもとに自社の特徴を表現して『ハイと手を挙げましょう!』とお話していた。
ある時、同社がホームページをリニュアールされた際に、驚いたことに今度はまさに『ハイ、イワセです。』と手を挙げておられたののだ!)