木幡社長ブログ

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私のスピーカーのストーリー

前にもご紹介したが私は、高校生時代からのオーディオ好きである。
大学卒業後社会人になって以降暫くブランクはあったが、また何年か前に復活し今に至る。しかし、また結婚して子供が出来たので、暫くはまた凍結だろう。(苦笑)


さて、一昨日、紹介したセス・ゴーディンの新刊書「マーケティングは嘘を語れ!」は、物語の重要性がテーマであったが、自分自身のことを振り返ってみると、趣味の分野でまさに物語に惹かれ、買い物をしていたことを思い出した。


それは私の所有する愛機、Cadenza(カデンツァ)と言う名のスピーカーの物語である。


もう数年前になるが、私は新しいスピーカーが欲しくて購入を検討していた。
望んでいたのはマンションという住環境で、コンパクトながらも、豊かな音が得られるスピーカーだった。


当初は、イギリスのKEFというメーカーのKHT9000ACEという型式のスピーカーが、候補となり、実際その機種を大阪日本橋のオーディオ専門店に試聴しに行った。


そのスピーカーに興味を惹かれた理由は、スピーカーには珍しく、薄くてコンパクトなアルミダイキャストボディに活性炭をつめることにより、スピーカー内部の容積が、1.7倍に相当し、それにより形状からは想像出来ない豊かな音が得られるという情報を入手したからだ。


こうした変わった造りのスピーカーというだけでも、十分話題性があり、この話を聞けば、あまりオーディオに関心の無い人でも少しは興味を感じはしないだろうか?


実際に試聴し、確かに良い音で大変気に入り、「よしこれにしよう!」と半ば決めながらも、その日はもともと視聴のみのつもりであったので、後日改めて購入するつもりで気をよくして店を出た。


その後、2軒続きの隣のオーディオ専門ショップもついでに覗いたのだが、ここで実はさらに物語性の強い、それまで全く名前も知らなかったメーカーのスピーカーに、さながら運命のごとく出会うこととなる。


マイクロピュア Cz102マイクロピュア Cz102

そのショップに入り、何をという訳でもなく、2階のフロアに上がると、店の奥の試聴室から、実にリアルなサクスフォン音とドラムの音が聴こえて来て、思わず驚いてカーテンの向こうの試聴室に入ると、一般にブックシェルフ型といわれる極普通のコンパクト小型スピーカーからとんでもない音が出ているではないか!


思わず聴き入り、「何処のスピーカーですか?」とお店の人らしき方に聞くと、その人はお店の方ではなく「パストラルシンフォニー(現在社名はマイクロピュアと変更されている)というブランドで、私が製作者です。」と言われるではないか!

まさか製作者(福田三恭司氏)ご本人とは思いもよらず、さらにいろいろとお話を伺った。


元々ご本人はPAというコンサートやライブまたレコーディングスタジオ等で音響技術に携わるお仕事をされていたが、普段、実際の生演奏の音と、モニター用スピーカーの音とのギャップを感じながら、ご自身で最初は趣味でスピーカー工作をされていた。


するとある時、工作作業中に、ふとした拍子に手元を誤って、手に持っていたマイナスドライバーを落としてしまい、それがスピーカーユニットと、それを取り付けるエンクロージャーと言われる四角い箱の間に、すっぽりドライバーが刺さり、するとその途端に驚くような音が鳴り出したそうだ。


その後、研究、試行錯誤を繰り返すうちに、その構造上の微妙な隙間があることでこの音が再現されることを付きとめられ、それがこのスピーカーの特許であり、この音の秘密だと言われた。


そして、その製作者ご本人は、箱の木の材質も吟味され、このスピーカーをガレージメーカーとしてお一人で一から制作され、今では大手テレビ民放キー局のスタジオモニターとして採用されたり、名古屋で開催された愛・地球博覧会の日本政府館にも採用されるまでになったと言われる。


そしてこのCadenza Cz102 といわれる同社のデビューモデルは、「“100 年かけて育った木は100 年以上使い込める物へ”というヨーロッパの伝統家具工芸の思想から学び厳選したナラ材の単板からハンドメイドで作り上げています。ですのでお届けできるのは受注後、1ヵ月後になります。」とのことだった。


また、「このスピーカー作りは大変ですが、長寿のナラの木の香りの中で仕事をしているといつの間にか疲れもなくなります。」ともお話下さった。


私はその素晴らしい音と、製作者本人の福田氏が語る熱い思いの物語に、思わずその場で、注文をしてしまっていた。


そして、福田氏は「ありがとうございます。私の作ったスピーカーをこうしてご注文を頂くと、それこそ愛娘の嫁ぎ先が決まったような気持ちでとても嬉しいです。これでこの機種は、大阪では4番目のオーナー様です。」と教えてくださった。


その後、同社はアメリカのオーディオショウでも絶大な評価を受け、今では日本の新鋭スピーカーの中でも、異彩を放つ人気のメーカーとなられた。


この物語は、私が、既に直前にこれに決めたという購買動機を完全に覆し、予約注文させるほどの力強いストーリーだと思うが、ただ、それは単にその物語が強力だと言うだけではなく、セス・ゴーディンが言うようにこの製品が真に優れたホンモノの製品であり、製作者の真摯なものづくりの姿勢に私が心を打たれたからでもあると思う。

2008年07月26日 23:56
コメント(1)

福田三恭司:

木幡様 福田です。ご無沙汰致しております。
Cadenzaはその後いかがですか?ブログ掲載
ありがとうございます。

この度東京吹奏楽団、ローランド株式会社、
録音の(有)スタジオリリック、管楽器専門店ダク
とのコラボレーションで、マイクロピュアスピーカー
と生録音生演奏を同時進行させて、自然な音で音楽が
楽しめる事を広く管楽器愛好家の方に知って頂こうと
イベントを開催致します。

もし宜しければご来場賜り、様子をブログに掲載頂けましたら、幸いです。イベントの詳細は下記です。
マイクロピュアホームページよりお申し込み頂けましたら、ご招待券を差し上げます。
www.micropure.jp どうぞ、よろしくお願いいたします。

、「生演奏とパーソナル録音で音楽を楽しむ・コ
ンサート」
実行委員会をこの度立ち上げまして、4月16日に管楽器専門店ダクスペースDOにて

東京吹奏楽団メンバーが中心となって、結成されたチューバとユーフォニュームのアン
サンブル
「アップフロントベルクアルテッド」 の演奏会を企画しております。

旅行にいって、生を体験をした後、デジカメやムービーで思い出を楽しむことは一般
的に行われておりますが、現在ほとんどの演奏会は、録音機の持ち込みが禁止されてい
ます。
ブログでもお書きになられていましたが、
高音質のパーソナル録音機の普及と、臨場感のあるスピーカーがあれば、演奏会で
生演奏を楽しんで、家に帰って、その思い出を再現したり、音楽の勉強に役立てること
ができます。

ホームページ http://liveandrec.music.coocan.jp/
チケット http://eplus.jp/sys/T1U14P0010817P002038675P0030001P006001

最近はCDが売れず、Uチューブなどで演奏家を知って、リアルなコンサートに足を運

傾向があると思っております。
今回の企画は一流のチューバーと、ユーフォのアンサンブルですので、音楽・録音愛好
家の
方にも、とても興味深い演奏鑑賞・録音の持ち帰りができ、喜ばれると思われます。

ご来場頂けしたら、幸甚に存じます。

「生演奏とパーソナル録音で音楽を楽しむ・コンサート」実行委員会
(マイクロピュア株式会社内)

チーフディレクター 福田三恭司(ふくださくじ)

実行委員会メールアドレス 
iveandrec@nifmail.jp

投稿者: 福田三恭司 | 2010年03月26日 00:29
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