木幡社長ブログ

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がんばれ中小企業!!

昨日は、先の記事にも記載の通り(株)木幡計器製作所の加入業界団体である日本圧力計温度計工業会の理事会に参加してきた。


理事会審議の後、経済産業省の製造産業局産業機械課の方より「中小企業支援策」についてのご説明と懇談会が催された。


具体的には「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」の内容説明と、「原油・原材料高騰に係る下請中小企業向け追加対策について」という内容である。


このうち、昨今の原油・原材料高騰による中小企業向け対策については、具体的には、中小企業庁の方で新たに今月8月9日から相談時間の延長や土曜日相談も実施されている「下請かけこみ寺」という相談制度のご案内で、下請代金法に照らして、昨今の原油・原材料高騰にあたり下請け業者に対して親事業者の買い叩き等が無いように規制強化をするなどがその内容であった。


原材料価格高騰は、我々業界としては深刻な問題でもあり、その施策内容については期待するところだが、中小零細企業が多い我々圧力計温度計の製造事業者団体ではあるものの、正直なところ、我々にとっては、残念ながらご説明頂いたこの対策については、現況の材料価格高騰に関して有難い助け舟となる有効なもののようにはあまり感じ取れないというのが組合理事各社を通じての感想であった。


これらの国の施策がもちろん価値のないものと言うことではけしてなく、国がこうして中小企業支援に目を向けてくださるのはとても有難いのだが、しかし、ではそうした「かけこみ寺」的なところで相談が出来るかというと躊躇せざるを得ない感がどうしてもあるようだ。


我々の業界においては、金属材料の販売元は皆大手企業であり、売り先も比較的に大手企業が多いという、仕入れ先と売り先の入口と出口が、大手企業の板挟みであり、我々としては他業界と比べて使用量は僅かなので材料仕入額の高騰には受け入れざるをえず、一方では売り先へは製品価格への転嫁が難しく、値げも受け入れられにくいのが現状だ。


我々が主に使用する金属材料のうち真鍮は約3倍、ステンレスは約2倍とという高騰である。
部品の材料比率が高いだけに苦しいかぎりだ。


こうした状況が社会問題になり、勿論売り先への値上げが全く聞き入れられない訳ではないが、しかしここ数十年来、ものづくり企業におけるコストダウン進行による製品価格競争局面を長年体験してきた我々業界においては、悲しいかな、すんなりとは値上げも怖くて出来ないというところなのだろう。


あたかもサーカスの象(学習性無力感)である。


またこの業界は古くからの企業が多く、工場の土地・建物も自前で、設備投資もあまり必要ない分、部品在庫を多く抱えがちな企業が多いせいか、これまで初期の材料高騰も何とか吸収してきたのだろうが、しかし今ではもうそれも言ってはおれなくなってきている。


何十年来と業界で倒産企業がなかった業種ながら、この6月には老舗企業が1社倒産した。


大手企業にとっても厳しいのだろうが、我々中小零細はそれ以上に厳しい。


こうしたなか思うのは、縦系列も崩壊ししつあるようだが、大手にはリーダーカンパニーとして、できれば今、日本のものづくりを守るためにも、中小を引き上げるような気概を持っていただきたい。


日本のものづくり企業は、我々中小企業が、こんなふうに耐え忍びながら踏ん張って、縁の下で支えてきた自負はあるが、この現況がこのまま続けば、この国から小さいながらも貴重な企業がどんどん無くなってしまいかねない。


大手は、例えばカンバン方式で在庫は抱えず、ジャストインタイム納品の合理主義を追求し続け、高収益を上げてきた。


また、最近は企業イメージもあり、大手企業としては自社内では確かに地球温暖化対策には貢献しているのだろうが、一方で、事実上の在庫センターである納入仕入先のトラックは納品時間を待つ列をなして、時間調整のアイドリングで、無駄なガソリンを焚かせていたりするのではないのだろうか?


また、話は飛ぶが、外に目を向けて国際的に見れば、韓国や中国、インドなどの企業成長は目覚しいが、最近私の聞いたところでは、どうやらその背景には外国の国家戦略もあるらしく、ある国では技術をもった民間の企業買収にも、国が何十億も莫大な援助をするというとんでもない恐ろしい話もあるらしい。


オリンピックイヤーで、国民の多くが、国家や地球市民を意識する今、自分達だけがよければそれでよいというのではなく、国も、公器性の高い大手の民間企業も、そして私達中小企業も、気概と品格を持って、もう少し広い視野と見識を持ちたいものである。


当然、我々中小企業としては、厳しい経営環境の中ではあるが、これまでの発想を変えて構造的な転換により新しい価値を創造すべく、今後もたゆまぬ努力が不可欠だろう。


自社も含め、『がんばれ日本!がんばれ中小企業!!』とこころから叫びたい!


【参考サイト】
 中小企業庁下請かけこみ寺事業
全国中小企業取引振興協会(全取協)下請かけこみ寺

2008年08月22日 23:12
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